縮まった差と開いた差

3月20日から始まった大谷翔平物語が一応の幕を閉じました。勿論PSはこれからですけど、レギュラーシーズンは9末で終わり今シーズンの成績も一区切りということです。毎年この時期になると今年の成績を振り返るってのが儀式ですが果たして私の予想が当たっていたのか否か。7月終了時点では


630打数195安打
打率0.310
38二塁打
7三塁打
47本塁打


という予想でしたが、結果は


636打数197安打
打率0.310
38二塁打
7三塁打
54本塁打

でした。打率と2塁打、3塁打の数はピッタリ当たったんですけどホームランをここまで打つとは思いませんでしたね。自分が思ってたより7本も多かったのでビックリしましたけど、打率に関しては一時0.287まで降下したのにそこからの回復はお見事。其れもこれも残り12試合で9試合はザルピッチャーとの対戦が組まれているということで、その辺のロジックは事前に私が書いた通り。

 

9/17の時点では0.288だったけど、マイアミでの3連戦で16の8。本拠地に戻ってドジャースタジアムでもCOL相手に12の8、SD相手に11の6と打ち込み、最後デンバーに行っても14の7で終決。最後の12試合で0.547と打ちまくりあわや三冠王ってところまで打率を上げましたからアラエズは肝を冷やしたと思います。彼はこれで3年連続の首位打者。打率以外で自己主張ができない打者ですからこのタイトルだけは何が何でも取りたかったと思いますけど、夜も眠れなかったと本人が述懐しております。大谷選手ご本人はアラエズの打率知る由もなくやってたそうですから気をもんだのはこちらだけ。あとちょっとで三冠王だったってのは素晴らしいです。


果たしてこれが彼のキャリア・ハイになるのでしょうか?

 

 

2021年からの4年間をまとめてみましたが、この数字の中に彼がLAAを脱出して、LADに移籍した理由がくっきりと描かれています。2022年はそれほど顕著ではありませんが、この年の大谷選手は打者としては今イチ。だからあんまり歩かされてないんですけど、2021年と2023年はその傾向が顕著でした。


オールスターまではまともに勝負してくれたけど、オールスターが終わって後半戦が始まると相手チーム。5回以降は殆ど大谷選手とはまともに勝負せず。特にツーアウト2塁、3塁、23塁の時はまんず申告敬遠。他の得点機では敬遠はせずともボール気味の投球に終始して結局はフォアボールだったので打点を稼ぐとしたら走者なしのソロホームランか、ランナー1塁の時の長打だけという極端な打席になってしまったので球宴前と後での打点率の違いが凄かったですね。


球宴前の打点率と球宴後の打点率の比較
2021年AL前0.233⇒AL後0.127
2022年AL前0.168⇒AL後0.154
2023年AL前0.208⇒AL後0.154


特に2023年なんて打率3割12本塁打してるのに打点はたった24。2021年は後半打撃不振に陥ったから打点が減ったという事もあるけれど2023年は打撃内容は変わってないのに打点率だけが急降下するという事で如何に勝負を避けられたかが分かります。其れが

2024年には
AL前0.186⇒AL後0.229


今年初めてオールスター以降に打点率が上昇したんですね。エンゼルス時代ならオールスター以降はほぼ歩かされた日々でしたけどドジャースに来てからは、後ろにベッツ、フリーマンがいるから勝負して貰える有難み。MLBの1年は3月20日から9月末まで190日間あるけれど、以前なら115日で終わっていた。それがドジャースに移籍すると190日間丸々勝負して貰える。


其れが打点率の変化に表れています。


こういうのを見ると去年の11月に大谷選手が何処に移籍するかくらいは分かりそうなものだけど、頑としてエンゼルス残留を主張したAKI猪瀬さんは本当に野球を見る目がない。エンゼルスにいたら僅か115日間しか楽しめないメジャー生活が、よそへ行くと190日間も楽しめるのだから選手としては絶対に190日間を優先するはず。それくらい分かってよと言いたいですよね。

 

左対左。右対左を見てみましょう。左バッターは絶対に左投手は打てないと主張してきましたがその通り。大谷選手と言えども右よりも左投手の方が対戦成績は格段に悪いです。


左投手⇒打率0.260でHRは18打数に1本
右投手⇒打率0.292でHRは12打数に1本


だからイワンレンドル。圧倒的に対左よりも、対右の方がホームランが良く出てるのでロサンゼルスに野球観戦に行くならば右ピッチャーが先発するときに観に行った方が良いでしょう。打率は兎も角として、本塁打のペースは左よりは右なのでそういうことを考えながら野球観戦すると面白いです。ただし大谷選手はまだ左をよく打っている方です。フリーマンも対左では0.240くらいしか打てていないし、チームメイトのマンシー、ラックスに至っては1割5分くらいしか打てていないので大谷選手は左をよく打ってる方です。確かマックス・マンシーは対右には3割超えてるけど、対左で1割2分くらいの時があったから如何にして左投手を打つかが、左バッターに問われる真価なんだと思う。今年に関しては


対右で打率0.322
対左で打率0.288

対右で3割2分打てるバッターは割と多いけど、対左で2割9分打てるバッターは滅多にいない。其れが大谷選手の真価でしょうね。ただしベッツが1番に入ってるときは、大谷、フリーマンと左が続くので5回以降彼が打席に入ると、悉く相手チームは左投手をぶつけてきた。其れが故に

対左が0.355打数
対右が0.645打数でした。


アーロン・ジャッジの場合はこれが
対左が0.240打数
対右が0.760打数なので


大谷選手は左ピッチャーをぶつけられることが非常に多かったです。多分メジャー全体では右投手が7割、左投手が3割くらいだと思うけど、其れは1年目の対戦相手見るとそんな感じになってます。1年目は全く警戒されてなかったから、大谷イコール左を出してくるという構図はなかったので、対左が0.3打数、対右が0.7打数となっています。其れが2021年になると対左の割合が0.369ということで急に数字が上昇していますね。左投手との対戦は厳しいですけど、数をこなすうちに徐々に対左と対右との差は小さくなっていくでしょう。其れはジャッジの成績を見てもよく分かります。右打者は右投手との対戦経験が多いので、対左と対右との成績の差は小さいんです。


何事も経験ですね。

 

 

今度は得点圏打率の推移です。


散々得点圏で打てない打てないと言われてきましたが、基本大谷選手は得点圏の方が打率は高いです。今年も最終的には0.283まで打率が上昇して終わってますからそこそこなんですけど、去年までの6年間も大体得点圏の方が良いですね。このようにしてみるとたった1年だけで判断するのは間違ってるし、短期間での抽出って意味がないと思う。統計的に見てどっちが良いのかを判断すると彼とて得点圏の方が成績が良いわけで問題はないと思います。

通年
得点圏打率⇒0.293
走者なしか1塁⇒0.278


安打は偶然の産物。長い目で見て頂きたいものです。


1年目、2年目はさほど強力ではないエンゼルス打線の中にいましたが、それでも得点圏の打数率は全体の25%近いです。其れに比べてドジャース打線は強力だと思うけど、1番、2番を打った彼の得点圏打数率は0.229なんですよね。この辺が何とも勿体無い感じ。3番、4番に座れば得点圏打数率は3割を超えると思うので、彼が3番に居座った時のパフォーマンスを観てみたい。

得点圏打数率
1年目80/326⇒0.245
2年目96/384⇒0.250
4年目102/537⇒0.190
5年目102/586⇒0.174
6年目101/497⇒0.203
7年目145/636⇒0.229


2021年にブレークした年は主に3番。ただ得点圏で悉く歩かされたから0.190と異常に低い。
2022年は2番か3番だけど1,2番の出塁率が低くて没。
2023年も2番か3番だけど1,2番の出塁率と歩かされて没。
2024年は1番を打つことが多かったので没。

だから得点圏打数率が3割くらいの彼の打撃を観てみたい。


1年目、2年目はもっと後ろの方で打ってたと思うんで得点圏で回ってくることが多く打点率も比較的高かったです。其れが1,2番を任されるようになると打点は稼げないですから、其れがチームとして最良なのかどうかは疑わしいです。2番に1番良い打者を置くようになったのはマイク・トラウトがはしりだと言われています。トラウトはMVP3回、OPSが高くて守備走塁も評価。トラウトが2番を打つようになって他のチームもこぞって1番、2番に長距離砲を置くようになったけど、私は未だにその考えには否定的。トラウトはキャリアを通して打点率の低いバッターになってしまった。セイバー・メトリクスでは打点は全く評価しないからそうなるんだろうけどひとりのバッターとしてみたら、ここぞという時に打席に入った方がやる気と集中力は増すのではないだろうか?


集中力を増した時の大谷選手の活躍を観てみたい。

 

さて、これだけの活躍を為したわけだから今年が彼のキャリア・ハイと思ってる人が多いと思う。

さに非ずで

ホームランバッターのピークは意外と遅い。35歳以降に来ることがよくあります。


上記の画像では、王、落合、ボンズのピークを紹介してるけど、王貞治は33歳、34歳の時に2年連続三冠王に輝いた。その翌年のカルビーポテトチップスに付いてた付録の野球カードでは「余裕シャクシャク三冠王」ってタイトルだったけど、実はその年には大スランプを経験しホームラン33本しか打てませんでした。原因は長嶋が引退して、王がひとり孤立状態だったから。王だけをマンマークする相手チームの執拗な四球攻めに苦しみ王は打てませんでした。その翌年張本が加入して再び輝きを取り戻すのですが、36歳、37際の時にはホームラン50本も打つのですから王のピークは遅かったです。33から37歳がピークでした。


落合は32歳、33歳の時に2年連続三冠王になってます。34歳の時に中日にやってきて、以降も活躍はするけど首位打者を取ったのはパリーグ時代だけ。中日に来てからの落合は本塁打50ってのはなくなりそこそこの打者でした。もっとも王も落合も本塁打50といっても狭い後楽園球場とか川崎球場で尚且つラビットボールだったからのお話。大谷選手の本塁打50とは比較にならんけど、無理やり比較するとすれば


王、落合の本塁打が50なら⇒大谷の本塁打は80くらい
大谷の本塁打が50なら⇒王、落合の本塁打は20くらい


それくらいの差があります。

 

バーリー・ボンズに至っては37歳の時に73本塁打してるので凄いんですけど、私自身がもっと驚いてるのはこの2001年というのはAT&Tパークのこけら落としなんですねえ。メジャーリーグで左バッターにとって1番ホームランが出やすいのがヤンキースタジアム。其れに対して左バッターにとって1番ホームランが出にくいのがAT&T(現オラクル)ですからボンズなんて人間の所業じゃないんですよ。1番ホームランが出にくい球場のライトスタンドにパンパカパンとホームランを連発して73本打ったボンズのパワーには脱帽させられるけれど、当時のピッチャーはボンズに恐れをなして大体年間200フォアボールですからね。その為にOPSが異常な数値に跳ね上がり、2001年から2004年までの4年間は4年連続シーズンMVPでした。


37歳、38歳、39歳、40歳の時にピークが来たのがバーリー・ボンズ。


だからホームラン・バッターのピークは遅い。


大谷選手は今年DHに専念して54本塁打したけれど、これはまだ序の口。DH専任だからキャリア・ハイだったというけれど、そうじゃない。彼の本塁打ピークはまだ先。無論投手としての能力とか走塁に関してはは既に盛りを過ぎたかもしれないけれど、ことボールを遠くに飛ばすことにかけてはまだまだこんなもんじゃない。投手をやりながらホームラン60本打つ時が来る。ホームランバッターのピークは35歳くらいなのだと。でも早く終わる選手もいる。


ヒザを怪我すると早く終わります。

 

松井秀喜は東京ドームの人工芝で守ってる時からヒザをやられていたし、ヤンキース時代の後半には2度も両膝の手術をした。清原に至っては既に巨人に来たときは、膝はボロボロ。スイングもボロボロ。ど真ん中の真っ直ぐにバットが当たらんし、もう終りかけの選手かと思うてた。清原が良かったのは西武時代だけで30過ぎたら別人みたいになっちまったね。トラウトも膝に爆弾抱えてからは高めの真っ直ぐが打てなくなったし、真ん中付近の速い球は悉く空を切る。2019年にMVPを取ってからはかつての輝きはないし、もう終わりかけの選手だよ。大体ヒザの大怪我をすると打者の選手寿命は尽きる。良かった頃には戻れないって姿を何度も見てきたよ。大谷選手だって身長が193cmもあるから其れを支えるヒザには負担があると思うし、今後ヒザの手術をすれば一気に駄目になるんで油断はできませんが、私は二刀流をやることでひとつだけ良いなあと思うことがある。


守備につかないからヒザへの負担が少ない。


今後もDHを占有することはできないと思うので、外野の守備につくこともあるだろうけど、できるだけ限られた試合数にとどめていただきたいですね。ドジャースの上層部がどう考えてるかは知らんけど、内外野の守備機会は大型選手のヒザの故障を誘発する可能性が高いってことは間違いないので、これからも可能な限りはDHでやらして頂きたいです。投手をやるから打撃がダメだとか、外野手になって打者に専念した方が良いという意見も沢山お聞きしていますが私は大反対。投手をやるからこそ、ヒザへの負担が少ない訳で。投手をやるから右肘への負担は大きくなってしまいましたし、2度のトミージョン明けは投手として再生できるかどうかすら不透明なほど不安はありますけど、それでも投げれる限りは私は「投手大谷」は止めないで欲しいんですね。ピッチャーとしてどれだけやれるかは現時点では全く分かりませんが、ある程度抑えられるのであればこれからも永遠にピッチャーを続けて貰いたい。そのことが打者大谷を助けることにつながるから


ここまでひとりの野球選手に肩入れするのは初めてだけど


思えば、長嶋茂雄に王貞治、張本勲。みんなメジャーに行ったらどれくらい打つんだろうってのが気になってたし長らくは自分の中で解明できない謎だった。1978年に日米野球でジョニー・ベンチが来たときに奴らの長打力に愕然とし日本とアメリカの差はでかいということを痛感したけれど、その頃王が向こうに行ったらどうなんだ?というのが全く分からないまま時が経ち20年。ようやく王に匹敵するような打者がヤンキースに入団し答えわせができると思ったんだ。2002年ソリアーノが39本塁打した時から松井秀喜なら50は打つと信じ込んでた。そのちょっと前にデストラーデが向こうに行って20本しか打てなかった事も重く受け止めなければならんかったけれど、当時は


ドルフィン・スタジアム

プロプレイヤー・スタジアム

ローン・デポ・パーク

 

プロプレイヤー・スタジアムはあまりにも広い。こんなけ広い球場だからこそデストラーデは20本で終わったんだと自分に言い聞かせ、ヤンキースタジアムなら50は固いと信じ込んでたよ。だけど蓋をあけると松井の本塁打数は50⇒16本塁打で唖然。日本で50打てるバッターが向こうに行ったら16しか打てんのか?って思うと目の前が真っ暗になり、またしても日本とメジャーとの差を痛感した。もう無理なんだ。所詮日本人が海を渡って広いメジャーの場に立つとホームランで太刀打ちするのは無理なんだと諦めていましたが、そこから更に15年後


大谷翔平のエンゼル・スタジアム3戦連発を観て

夢を追いました。

其れが2018年4月7日のShow off Ohtani.の記事ですよ。

 

その時から松井秀喜が果たせなかった夢を私は大谷翔平に託し、今日に至るですが私が勝手に思い描いた夢を次から次へと達成して行くので本当に素晴らしい。韓国人も大谷選手にはファンが沢山いると聞くけれど、私みたいに王貞治⇒松井秀喜⇒大谷翔平と脈々とつながる歴史を胸に秘めている人は殆どいないだろう。韓国に王や松井のファンがどれだけいるのか分からない。


王の全盛期を観て育った

松井の全盛期を観て育った


そういうものがなければここまで肩入れはしなかった。


50年かかって日本とアメリカの差がなくなったのだ。


韓国は日本に近づくこともできないと思うよ。

 

9月30日にレギュラーシーズンが終わって大谷ロスというか喪失感が半端ないです。まだポストシーズンは残ってますけど、例年ドジャースはこの時期弱いからね。短期決戦なんて終わるときゃ一瞬で終わるから。3月20日韓国で開幕して190日間本当に楽しませて頂きました。ありがとうございます。パチンコビレッジの更新を待ってる読者様もそんな気持ちで待ってんのかどうかは知らんけど、自分が楽しみにしているルーティーンがなくなってしまうと辛いですね。パチンコビレッジの記事を読む立場の人たちが、どのような気持ちで待ってんのか私にはさっぱり分らんけど。大谷選手が出る試合を待ってる私は常にドキドキとワクワク。毎日が楽しくて仕方なかったし、9月で終わってしまうとあと半年何もせんで過ごさないと如何かと思うと悲しい。パチンコに行かんならん日でもドジャースの試合を観戦することを優先した日が何度あったか数え切れない。パチンコは真面目にやってません。月に10万くらい勝てればええやんけーって思いながらドジャースの試合を家で見てたけど、結構私が観てるときは大谷選手はよくホームランを打ちました。

 

最近MLB公式サイトでドジャースのホームページに大谷翔平54-59のまとめ動画(30分)がUPされました。と同時に私はYOUTUBEで其れに当たる動画を保存したんですけどMP4,320MBでした。其れを何度も観てたけど今年私がリアルタイムで見ていたホームランは

 

1号、5号、8号、17号、18号、19号
32号、35号、45号、46号、52号、54号

 

全部で12本だったですね。今年彼が放った54本塁打の中で1番印象に残ったのは第46号ホームランでした。前の日にライトポール際に大飛球を放ったものの30cm右に切れてファール。この日は真っすぐを捉えて右に切れましたが、翌日同じような打球をかっ飛ばし私は昨日とおんなじファールかあって思ってたのですが、これが切れずにホームランでした。前日はストレートに反応してファール。この日は前日の事を覚えていたのか、ちょっと緩い変化球に一瞬だけ身体が溜まって打ってるんですよね。そのために切れずにポールの上を超えてホームランになったんですけど、前日の失敗を糧にした技術は凄いなって思いながら46号のホームランを味わいましたが、素晴らしい打球、素晴らしい技術でした。来年もこのようなホームランを沢山みたいけれどあと半年のお別れです。

 

もう既に来年の3月が待ち遠しい。
来年は東京ドームだぞ。
来年はピッチャーだぞ。

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