42から17へ
12/15に大谷さんの入団会見を見ました。その後テレビで大々的に取り上げられていたから契約の内容も細かいところまで分かりましたし、双方の想いも伝わってきました。12/11にも大谷移籍のことを記事にしましたけど、その時には契約内容が不正確だったので少々訂正せねばなりません。と思ったら12月22日になって
山本由伸ドジャースと12年契約。
3億2500万ドル
というニュースが飛び込んできました。去年まではエンゼルスファンでしたが、今ではすっかりドジャースファンになっておりますので山本投手のド軍入りは嬉しい限りです。これでレイズから右のグラスノー、日本から山本ということで2枚のローテーション投手を獲得できたのは実に大きいです。現時点では左のカーショーが来夏いつ復帰するのか分かりませんが、来シーズン中には戦列に加われると思うのでポストシーズンにさえ間に合ってくれたら大丈夫。ドメスティック・バイオレンスでウリアスを失うのは決定的だと思いますし、ゴンソリンも怪我で戦列離れてるので先発投手のコマが不足していましたがこれで万事OK牧場。山本さんがドジャースに来てくれたら来シーズンは何も問題ありません。大谷・山本の2枚獲りお見事でした。それもこれも大谷選手を獲得したが故の山本さん獲得ですから、彼が入団したが為に他の選手も大谷と一緒にやりたいということが出てきますので、彼に支払った1000億円はそれ以上の価値をもたらすと思いますね。
大谷が来たからグラスノーと山本も連れてきた。
反対にニューヨーク・ヤンキースはまたしても破れました。
ドジャースに黄金時代が到来です。
そのドジャースはこんなチームです。
ナショナル・リーグに来たのは1890年、西海岸に来たのは1958年ってことです。日本人で初めてメジャー行ったのは野茂英雄さんと思ってる日本人が多いのではないかと思ってますがそれは間違い。日本人初めてのメジャー・リーガーは村上雅則さん。1964年サンフランシスコ・ジャイアンツでした。当時から日本のプロ野球関係者はアメリカ西海岸とのつながりが深く巨人、中日で活躍した与那嶺監督もジャイアンツ傘下のマイナーでプレイしていたし、巨人はジャイアンツと一緒にキャンプやったことあるし、中日も星野政権初っ端にドジャースと一緒にキャンプやってますから何かと西海岸のチームとの交流は昔からありました。
野茂英雄(1995)⇒ラソーダ監督
石井一久(2002)
木田優夫(2003)
中村紀洋(2005)
斎藤隆(2006)
黒田博樹(2008)
前田健太(2016)
ダルビッシュ有(2017)
筒香嘉智(2021)
大谷翔平(2024)
日本人にとってドジャース=野茂みたいなところはあると思いますが、日本人10人目。古くは1947年に黒人で初めてメジャー・リーガーになったのがジャッキー・ロビンソンなんですけど彼が所属していたのがドジャースでありこのチームは昔からパイオニア精神にあふれた球団でした。彼のメジャーデビューした4月15日は毎年ジャッキー・ロビンソンデーでありますし、その日はメジャーリーガー全員が背番号42を付けてプレイするんです。
4月15日⇒ジャッキー・ロビンソンデー
ジャッキー・ロビンソンの背番号42はメジャー30球団全ての永久欠番です。
1947年黒人初のメジャー・リーガー⇒ジャッキー・ロビンソン
1994年韓国人初のメジャー・リーガー⇒朴賛浩パクチャンホ
1995年日本人MLBパイオニア⇒野茂英雄
進取の気性というのはこの球団が一貫して持っている精神だと言えますね。
それだけにドジャースが大谷選手を欲しがっていたというのは分るんですけど、彼が花巻東高校の時代からメジャーに勧誘してるし2017年にポスティングシステムで移籍する時にも猛烈にアタックしてる。2011年は栗山監督によってその道が阻まれたし、2017年はDH制度によってその道が阻まれた。故にドジャースからの大谷さんへの「愛」は半端なかったと思う。何年も前から2023年末に大谷にFA権が生じるということで、選手の年俸を削減し、大谷移籍金の為にお金をプールしていたことは周知の事実。今まで何度も涙を飲んだ無念は、今年のFA争奪戦争でその力をいかんなく発揮できたと思う。
おめでとうドジャース。
ここまでの話を読めば、今年大谷選手がどこへ行くかはある程度予想できただろう。普通なら。
今まで散々苦労して苦労しても手に入らなかった大谷選手がついにドジャースの一員に加わった。だけどボクはこの時期に大谷選手がドジャースに移ったことが、ドジャースにとっても1番良かったのではないかと思ってる。高校卒業してすぐに海を渡るとルーキーリーグから始まってA、AA、AAAと昇格して後メジャーですけどそこまでは相当な棘の道。向こうのAA、AAAは日本のプロ野球並なので大谷さんよりも上手い選手はゴロゴロいるんですよ。そんな中でやってくのは大変だし、それにチャレンジしたマック鈴木選手の成績を考えるとまず無理だと思う訳。最初から高い位置でプレイする人とそうじゃない人との差は大きい。ドラフト上位ですぐにでも上から声がかかる選手ならマイナー契約でも良いけど、日本人の体力と能力に懐疑的な向こうの人を黙らせるには
日本での実績が1番の近道だ。
それ故日ハムで5年間プレイし二刀流に光があることを知らしめたけれど、この時点では大谷選手が投手か打者のどちらかならそこそこやれるレベルという事で、向こうの人間は彼のメジャーでの二刀流には懐疑的だった。だから2017年時点でDH制度のないナショナル・リーグへの加入は根本的に無理があったと思うし、エンゼルスしか選択肢がなかったのは仕方がない事と思いますね。2017年には相当悔しい思いをしたのがドジャース関係者だろうけど、僕はその時もドジャースには行かなくて良かったと思ってる。エンゼルスで6年間プレイしてたからこそ今の大谷選手があるし、何よりも二刀流を育ててくれたのはエンゼルスであり、マドン監督だった。これがドジャースなら二刀流はなかった。
マドン監督の元で二刀流の花が開いたし、登板日にも打席に立てることを可能ならしめた。飛躍はそれだけにとどまらず2021年の大活躍によって大谷の打席を1打席でも多く観たいと願うアメリカ人の心を動かしたから、マウンド降りてもDHとして出場できる権利も得た。大谷選手ひとりの力によってMLBのルールが変更されたけれど、それは彼の打席を観たいから。この3年間の活躍によって二刀流は「できる」とみんなが思ったこと。これが大きかった。日ハム時代の活躍と、LAA時代の活躍で地位を不動のものとし、今後10年間はメジャーの歴史を塗り替える。メジャー・リーグって面白いとアメリカ、カナダ、メキシコ、カリブ海、中国、台湾、韓国、日本のみならずヨーロッパに訴求することになるであろう選手を10年間もひとり占めできる権利を勝ち得たのだ。
1番良い時期に手に入れたと思いますね。
遠回りしたけれど1番良い時期に巡り合えたと思います。双方ともにね。大谷選手もこれから歴史ある球団で大声援を浴びながら日々を堪能することになるし、ファンと球団は彼のおかげでワールド・シリーズ制覇が叶う。毎年のようにポストシーズンに出場しながら早々に敗退するドジャースの弱さを大谷選手が補うと思ってる。短期決戦ではロースター枠が限られる中で選手をやりくりせねばならんが、ひとりで2人分の役割をこなす大谷さんの力は大きい。短期決戦では彼のような選手は必ず成功する。今年のWBCを見てよく分かった。
ケビン・ミラー問題
2003年1月、其れまで中日の主砲として活躍していたレオ・ゴメスが退団した。その後釜にと白羽の矢を立てたのがケビン・ミラーという選手だった。当時はフロリダ・マーリンズ所属の選手だったけど中日ドラゴンズは2年660万$でこの選手と契約した。当時はこの選手が中日に入るとセリーグの脅威となるのは明らかなので巨人ファンの私は相当警戒した。マーリンズ時代は右で3割打ってる選手だったので日本でブレイクするのは確実。そんな選手が中日に入ったらゴメスどころじゃないがやって思っていたけど、何とこの年ボストン・レッドソックスがミラーにオファーを出して彼の心は揺れ動いた。中日と既に契約の身でありながら一方でボストン・レッドソックスからのお誘い。その後ミラーは中日との契約を破棄してレッドソックスへの入団を発表するのであります。日本人にとっては屈辱的な事件だった。
この渦中でミラーが語っていた言葉が印象的
メジャー・リーガーにとって、アメリカ人にとって
ボストン・レッドソックス
ニューヨーク・ヤンキース
ロサンゼルス・ドジャース
この3球団は特別な球団なんだと。メジャーは30球団あるけど、この3球団から来ないかと誘われたら断れない。
らしいですわ。向こうの人間にとってBOS、NYY、LADは特別な球団でその歴史と伝統には理解を示すものの、中日サイドとか日本の野球関係者にとっては屈辱的な出来事だったからケビン・ミラー憎しとは思ってた。その年は松井が海を渡った年ですけど
2003年は
松井秀喜⇒打率.287、本塁打16、打点106
ケビン・ミラー⇒打率.276、本塁打25、打点96
という成績。松井以上の成績だったので凄いと思ったけど、もしミラーが中日に来てくれたら3割50本のバッターでしたね。松井秀喜と同等クラスのバッターが日本に来てたら凄いことになってたと思うけど、彼は中日を捨ててボストンを選んだ。これがメジャー・リーガーの本音と思うけどフロリダ・マーリンズならマーリンズを捨てて中日を選んでくれたのに、レッドソックスが相手ならその逆になるという。それほどまでにこの3球団でプレイすることは彼等にとって価値が高いのか?
ロサンゼルス・ドジャースはその一角
ケビン・ミラーという名前を聞いてピンとこない人はメジャー・リーグという世界を理解するには難しいかも知れない。AKI猪瀬さんがミラー問題のことを知ってたか知らんかったかは興味深いけれど知らんのではないかと思ってる。知ってればあのような発言はない。LAAとLADではアルファベット1文字しか違わんけど、メジャーの歴史と伝統という点では天と地ほどの差がある。メジャーでプレイする人間がLAAに執着するような理由はそれほど多くない。むしろLADへの移籍が当然と思う。
後払い契約が非難されてる風もあるけど、現時点ではルール上何も問題ないし、メジャーの大型契約ではむしろ当たり前のことである。ただ今回はその額が大きいという事と、比重が偏っていたので問題視する人もいる。無論何のために贅沢税制度にしたのかが分らんし、今回の契約はそれをないがしろにするものだと言われても仕方あるまい。私個人の考えでは汚いとは思うけど、大谷ひとりに給料を毎年100億払ったら他の選手を補強できないので、大谷選手及びドジャース球団としては止むを得ない契約だったと思ってる。ルールをかえるきっかけにはなるかも知れんけど、ルール上問題ないなら止むを得ないという気持ちの方が強い。他球団関係者もこの点では一致だろう。自分んとこもそれをやってるじゃないかと。
総額345億円で大谷選手に100億円
これでは難しいから。
ルール上の問題は今後変えてけば良いと思うけど、ひとりの選手に支払うお金の上限も付けることも必要と思う。あまりに高額、長期契約が横行するとトラウト、レンドーン、スタントンのような3悪が生まれる。トラウトを悪と見ない人は多いけど、私の目にはそうは見えない。既に真ん中の真っすぐを空振りしかせんような打者では先はない。晩年の清原と同じだよ。
当初はオプトアウトなしと思われてたけど実はってのが分かった。要職の二人のうちどちらかが辞任すれば出ていけるって寸法だ。飛車角のどっちかがいなくなれば大谷さんも自由の身となれる契約だけど、これも彼らしい。彼等二人と一蓮托生で強いドジャースを築き上げる風なのがとても良い契約だと思った。これからもドジャースの黄金時代は続くだろう。本戦の162試合では毎年のように優勝できると思うけど、これからは10月にアトランタ・ブレーブスとフィラデルフィア・フィリーズとの激しい戦いが待っていよう。
背番号17ってのがイイね。
エンゼルスでも17番だったし、ドジャースでも17番だからメジャーでの活躍は全部17番ってことになるのかな。
今後の活躍次第では、メジャー史上最高の選手と言われるようになると思うし、二刀流を本格的にやった最初の選手として崇められるだろう。
ジャッキー・ロビンソンが白人だけの世界に初めて黒点を付けた。
一刀流だけの世界に初めて二刀流を持ち込んだ選手。
否、初めてはベーブ・ルースだけど、ルースを超えた選手として
背番号17が30球団全球団の永久欠番になるかも知れない。
42から17へと時代は動き始めてる。
因みに筆者は大谷さんがドジャースを追い求めた結果が今なんじゃないかと勝手に思ってる。2021年に大ブレイクした結果、2022年に投手大谷が降板しても、DHとしてその後も打席に立てるようにルールが改正されました。その年はナショナル・リーグにもDH制度が採用されたのですが、それも大谷選手の二刀流ブレイクと無関係ではないような気がする。勿論ここ数年はアメリカン・リーグだけじゃなくてナショナル・リーグもDH制を採用した方が良いという声は出ていたので、どっかでDHに踏み切ったとは思うけど、大谷選手の活躍がその時期を早めることになった気がしてならない。2021年に大谷選手が二刀流で大活躍するのを見てメジャー・リーグ全体として今後二刀流選手がいっぱい出てきて欲しい。そう願うから
ナ・リーグでDH制度が導入された。
2017年にはナショナル・リーグにDH制はなかったけれど
2018年の二刀流活躍を見て
2021年の二刀流大ブレイクを見て
2022年からナショナル・リーグのDH制が始まった。
2022年以降はナショナル・リーグへの移籍が可能に。
2023年12月9日に大谷選手がドジャースに移籍した。
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これは大谷選手がドジャースへ行きたいと思うから
ここまでの話を読めば、今年大谷選手がどこへ行くかはある程度予想できただろう。
普通なら。