逃げ道

5/22に先発した大谷投手のピッチング内容をじっくりと分析いたしました。過去4戦いずれも被弾してるけどその内容はスライダーを待たれてのものだけにこの日の大谷さんは少し対策を立てたようであります。特にミネソタの1番バッターに対してすごく警戒してたので、被本塁打を嫌がってんだなあってのは分かったのですがギャロは三振かホームランで打率.200という打者なので怖がる必要はないんですけどね。最近はずらりと左を並べてくるというのがVS大谷の戦術です。この日は今までよりもスライダーの比率がかなり低かったので無事6回を2安打1失点にとどめましたが、その1点がギャロを歩かせた後の甘いスライダー。毎回同じパターンでやられてる。

 

今年WBCに出場した投手の成績が悪いです。
 

 

ナショナル・リーグ去年のサイ・ヤング賞アルカンタラ投手は今年メッタ打ちにあってます。


W勝利
L敗戦
ERA防御率
IP投球回数。ピッチングイニング
ER自責点
HR被本塁打
SO奪三振
BB与四球
AVG被打率


これらの数字の中で投手の実力を測る最も大事な指標がERA(防御率)と言われています。これはEARNED RUN AVERAGE。9回投げたら平均して何点自責点があるか。自責点とはエラーによる失点ではなくて自己責任によるもの。ただしこの数字にはトリックがあって、走者を残して次の投手に代わった時に次の投手が打ちこまれて失点すると、残した走者の失点は全部前の投手の自責点となってしまいます。これでは正当に評価されてる事にはならないと思うので私は防御率よりも被打率の方を重視します。自分が考える最も重要な指標は


(1)被打率
(2)被本塁打
(3)与四球


この3つです。被打率が低い投手は相対的に奪三振率が高いし芯に当てられていないということで抑える確率が高い投手です。バットに当たったら安打になることがあるけど、三振は絶対に安打にならないので奪三振率が高い投手は被打率が低くなりがちです。与四球は当然コントロールの良し悪しになるんですけど、与四球が多くて被本塁打が多ければ、被打率が低くても防御率は高くなります。従って被本塁打と与四球率は非常に重要です。アルカンタラの場合は今年急に被打率が高くなってますね。これが問題です。

 

 

ロサンゼルス・ドジャースのウリアスです。去年の被打率が2割を切ったので素晴らしいピッチャーだなと見てましたが、今年はかなり打ち込まれています。被打率.250は信じられないです。WBCのときから調子は悪かったですが、それ以降も調子上がらずです。

 

 

現在のナショナル・リーグNO.1の剛球ピッチャーです。WBCに出なかった彼は今まで通りの活躍。打ち込まれていません。去年からブレイクして奪三振率が異常な数値を叩いているので注目して見てましたが彼のまっすぐと落ちるボールは凄まじいの一言。奪三振率が非常に高いからこそ被打率は低くなるけど彼の場合は被本塁打も少ないんで失点する要素がありませんね。それでも防御率は2点台の後半なのでメジャーで投げる投手は本当に厳しいと思います。

 



 

これに対して大谷の成績。まあメジャートップクラスの成績ですがね。大谷の場合は与四球率が高いんでフォアボール出してからのホームランが1番怖いわけですけど、今年は懸念していたことがズバズバ現実のものになっています。被打率が0.142なのに防御率3.05は高過ぎですね。連打を浴びてるわけではないけど四球の後の変化球を本塁打されてることが危惧されるべき事態です。

 

アルカンタラとかウリアスのようにWBC以降に打ち込まれた投手もいるだけに、まだ投手大谷はましなのかもしれないけれど私としては大いに不満。今日ここに掲げた大谷以外の3投手はナショナル・リーグトップクラスの投手。いずれも160km近いまっすぐと落ちるボール若しくは曲がり球の使い手ですが大谷ほど変化球の比率は高くない。投手の基本はあくまでも速い真っ直ぐ。

 

真っ直ぐの後の真っ直ぐはそれほど打たれない。

けれど変化球の後の変化球はホームランを打たれる。

真っ直ぐで押し込んでからの変化球が基本。

 

 

4戦連続被弾された後の登板が5/22でその時の配球がコレ。その前まではスライダーが全体の48%だったのでその点は改善されてるけれど、実際のゲームではギャロの長打を警戒して四球を出した後のコレアに痛打。外に大きく逃げるスライダーを振らせての追い込んだ次のボールが今度は横に曲がらないスライダー。これを右中間に痛打されました。相変わらずスライダーを待ってる相手に甘いスライダーを投じての失点でしたが、この辺が気に入らないところ。去年に比べると今年は制球力がないので毎回どっかで大崩れする可能性を秘めてるのですが、それ以上に怖いのが配球の妙。



大谷は大谷なりに考えてると答えるでしょうが、打者と投手の基本は多分昔から今まであまり大きくは変わらず。まだまだ変化球が多すぎると思うけれど、これは指にまめができる感覚が御本人にしか分からぬことなのでそれが1番の悩みの種。去年まめで苦労したのはシンカーを投げるようになってからですが、本来ならこの球は右打者にも左打者にも有効で数多く投げたい球種です。メジャーでシンカーの使い手と言えば、グレン・マダックスと王建民。どちらも軟投派のピッチャーなんで同じ比較はできんのでしょうけど、王に関しては捕手ポサダが1試合全球シンカーを要求したこともあったとの記事を読んだ事があります。それほどまでにシンカーを多投しても大丈夫だったのに、何故大谷が投げるとまめができるのかは分からんのですが、まめさえなければ使いたい球種。野球で最もホームランを打たれにくいのはシンカーです。まっすぐと同じ速度で打者に向かってきてシュート回転しながら落ちるから捉えてもゴロになりやすい。容易に本塁打されないんですが、これはマダックス、王のキャリアスタッツを見ても明らかです。ホームラン打たれていません。本日紹介した4投手の中でもアルカンタラがシンカーの使い手でですが彼の方が大谷よりも被本塁打は少ない結果になっていますね。

 

ということで5/22のツインズ戦は配球を変えて成功を収めましたが勝負はこれから。

 

ツインズはどちらかかというと非力な打線。もっと強力なチームと戦って6回を被本塁打0くらいに抑え込まないと大丈夫だとは言い切れないのですが現時点での大谷投手の頭の中では今後の投球はかなり危ういでしょう。投手の基本は剛球。ど真ん中でもいいから剛球をねじ込んで、打者に怖いと思わせる。まっすぐに磨きをかけないとあと1、2年で投手大谷は終わると思います。

 

 

 

江川卓が巨人に入ってテレビ中継を見てると、彼の球速は140kmと表示されましたが、当時は捕手の手前で速度を測る「終速」でした。お茶の間で見る人にとってはどれくらいのスピードか想像もつかないのでこの140と表示される数値を信用するしかなかったのですが、実際に江川と対戦したバッターの意見では途轍もなく速かったというのが殆どです。そこで当時の江川の投げた球を解析したサイトがあったので参考までに載せときますが、これによると4シームの回転数が佐々木朗希以上の2750回転。捕手到達地点での高さが平均値よりも23センチも高い。つまり落ちてないということで初速を計算すると158km/hにもなるらしいです。158kmが平均値なのかMAXなのかは分かりませんが、平均値だとしたら大谷以上かも。大谷も全盛期165km投げてますけど、今は精々MAXが161kmくらいで平均すると156kmなのでそれ以上の数値です。

 

真っすぐとカーブだけで打者を牛耳った投手

 

高校3年間の公式戦で
ノーヒット・ノーラン9回
内ノーヒット・ノーラン無四球試合4回
内パーフェクト2回
20完封
36イニング連続無安打無失点
1試合平均被安打2.6
354投球回数で被安打103、被本塁打0

※36回無安打無失点って4試合連続ノーヒット・ノーランみたいなもの


未だにほぼ破られてない記録。恐らくは高校野球史上最高の投手。


沢村栄治か江川卓か?日本史上最高の投手である江川さんはまっすぐとカーブしか投げなかった。スプリットもないしスライダーもない。それでいてプロの打者を完璧に封じ込めた投球はまっすぐの威力が尋常じゃなかったから。もっとも高卒でやらずに5年間も回り道して巨人に入ったため、全盛期は短期間だったし、プロ入り後の球速は高校時代に及ばず。でも投手の基本はまっすぐ。

 

苦労して打者を牛耳るのが王道なのはどの世界でも同じ。


まあパチンコで王道を歩けなくなった私。ヤメ時ばかり主張してるようじゃ何も言えませんがね。パチンコの世界であれば「回る」・「長く」が基本だし的当てゲームとヤメ時は楽な方に舵を切っている証拠。まっすぐはいくら押し込んでも容易に空振りを奪えないから、スライダーとスプリットで三振を取りに行くようになれば投手の寿命は短くなる。

 

まっすぐとカーブだけで頂点に立った人もいる。


そんなに変化球ばかり。増やさなくていいっすよ。


魔球は逃げ道と心得よ。

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