パチスロ5号機の歴史(その1)~もうすぐ終わる!? 5号機時代~
10月1日から突入したパチスロ5.9号機時代。そして来年2月からは6号機時代に突入します。時代の節目を迎えるにあたり、今回の特集では5号機の歴史に触れていきたいと思います。
4号機から5号機へと移り変わったのが2004年の7月。ですから5号機時代は13年以上続いているわけです。1992年からの4号機時代も長かったんですが、5号機時代はそれ以上に長かったんですね。ちなみに、4号機がホールから完全に消えたのは2007年の9月。そうなんです。経過措置が設けられているため、規則改正をしたからといってすぐにそれまでの機械が消えるわけではないんです。この点は、来年2月の規則改正後も同様です。徐々に入れ替わって行く感じなんですね。
今回の規則改正、夏に警察庁が意見公募(パブリックコメント)し、ポータルサイトなどでも報じられたため多くの方が目にしたことでしょう。実際、意見を提出された方も多いと思います。提出意見の総数は14838件。ホームページの意見提出フォームに書き込んでの意見が多くを占めましたが、FAX送付が600件、郵送が2604件あったりと、手間を惜しまず意見表明された方も多くいました。それだけ注目度の高い事案だったわけなんですね。
寄せられた意見に対して警察庁が9月4日にコメントを出しています。出玉規制以外の部分で、注目したい点をピックアップしました。
*警察庁ホームページより*
出玉規制に対しては、上記の御意見のほか、
○ 出玉規制の強化よりも、遊技料金の上限を4円から2円とするなどの引下げを検討するべきではないか。
○ 出玉規制の強化よりも、1日に使用可能な遊技料金の総額を規制することを検討するべきではないか。
○ ぱちんこ営業所の会員システム、マイナンバー等を利用した客の入場、使用可能な遊技料金、月の遊技回数等の管理を検討すべきではないか。
○ 出玉規制の強化よりも、ギャンブル依存症に苦しむ当事者や家族への支援など、優先すべき対策がある。
といった御意見がありました。
ぱちんこの遊技料金は、遊技球1個につき、4円に消費税等を加えた額を超えない金額として定められており、上限に満たない遊技料金での営業が認められています。現に、規制の上限に満たない低料金での営業が相当程度行われているところであることから、ぱちんこの遊技料金の上限の引下げについて、現在のところ改正は予定して おりません。また、今回の改正により、ぱちんこ遊技機については、1時間、4時間について、出玉率の下限の規制を新設しており、回胴式遊技機等についても同様の改正を行っていることから、客の時間当たりの支出額は減少するものと考えております。
更に、本年3月にギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議において決定された「ギャンブル等依存症対策の強化に関する論点整理」(以下「論点整理」という。)においては、ぱちんこ等への依存防止対策に関して、本人・家族申告によるアクセス制限の仕組みの拡充・普及が課題として掲げられています。これを踏まえ、ぱちんこ業界においては、自己申告プログラムの拡充・普及のための取組が進められているところであり、警察としては、こうした取組が実効性のあるものとなるよう、引き続き、業界を指導していくこととしております。
ぱちんこ等への依存防止対策については、今回の改正により、出玉規制の強化だけでなく、依存問題に係る相談窓口の情報提供等の依存防止対策を営業所の管理者の業務として位置付けることとしているほか、論点整理に掲げられている、自己申告プログラムの拡充・普及、ぱちんこ等への依存問題の相談機関であるリカバリーサポート・ネットワークの相談体制の強化及び機能拡充等の課題に係る取組を推進することとしており、これらの取組が相まって、ぱちんこ等への依存防止対策が総合的に推進されるよう取り組んでまいります。
*以上、パブリックコメントのページから抜粋*
一番上の部分、4パチを2パチにしたらどうかという意見に戦々恐々としたプロも多いのではないでしょうか。スロだと20スロを10スロにしろということになります。ただでさえ、プロ連中の稼ぎは年々減ってるという話を聞きますが、今の半分のレートになっては専業で食っていくことはより難しくなるでしょう。また、入場制限についてのコメントもありました。ギャンブル依存症問題が世間で騒がれ注目を集めていますが、これについては注視しながら引き続き指導していくとなっています。
今回、パブリックコメント募集に際して、初めて「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」と「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則」を見た方も多いと思われますが、これを見た人に話を聞くと、「表現が難しい」のはさておき、「思ったよりざっくりしてるんだね」という話を耳にしました。
そうなんです。ボーナスの枚数は何枚まで、出率は何%までというのは書いてありますが、ATの純増は2枚以下とかそんなことは書いてません。その辺りの細かい取り決めは「技術上の規格解釈基準」が鍵となります。
規則が変わってないにも関わらず、様々なゲーム性が生み出されたのはメーカーの努力と解釈基準の変更という側面があるんです。この解釈基準の変更は、メーカーの組合「日本電動式遊技機工業協同組合(日電協)」主導で行なわれ、警察庁がOKを出せば通るというもの。4号機時代には大量獲得機の登場など実質的な規制緩和もありましたが、2015年12月以降の5.5号機、10月1日からの5.9号機など最近は自主規制の意味合いが大きいです。
現行の5号機の枠内でなんとかやり過ごしたいと考えていたメーカー側。そんな思惑とは裏腹に、カジノ法案が可決され、ギャンブル依存症の問題が取り上げられるなど逆風が吹き、それが結果として早急な規則改正につながりました。そんなこともあって、5.9号機として申請できるのは来年1月末までと、非常に短いものとなっています。6号機の技術上の規格解釈基準が判明していないためどんな仕様になるかはわかりませんが、規則で出玉性能の抑制などが確定していますから、6号機は5.9号機よりもスペックダウンすることは明白です。
規則改正は何かしら大きな修正をしなければならない場合に起きるものです。そうならないようメーカー側は自主規制で対応しますが、それでは足りないからこそ規則改正という大鉈を監督官庁は振るうわけです。
4号機時代の終盤は、ボーナスの連チャンを誘発するストック機の問題がありました。それもあって5号機ではボーナスのストック機能は禁止となり、5号機初期はノーマルタイプやRT機が主流でした。そこからボーナス+ARTタイプ、ARTオンリータイプとゲーム性の幅が広がり、そして2012年に登場した1G純増3枚のAT機が時代を一変。またしても一日2万枚、3万枚が見込める出玉性能となりました。
さすがにこれはやり過ぎとメーカー側もそれを問題視し、5.5号機では1G純増2枚まで、一日出っぱなしでも2万枚という制限を設けました。抑制しても2万枚出る可能性がある。今思えば確かに疑問が残りますが、朝から閉店までARTが続いたことなんてないですし、見たこともありません。
ただ、夕方から打った『政宗2』で閉店まで続いた挙げ句、2400G残しという泣きたくなる経験はあります。万枚確定での寸止め。モヤモヤしか残りません。大勝の高揚感なんてありやしません。いっそのこと9900枚で取り切り終了のほうがスッキリします。
あれを朝イチからやっていたら、2万枚はいってたでしょう。2万枚は、等価換算なら40万ゼニー。大卒初任給の約2倍ですからね。これじゃあ、問題になってもおかしくありません。とは言いつつも、夢見るユメオ君ですから、また期待して打ったりするわけです。それでもやはり世間一般的には射幸性が高いと思われて当然です。ですから、一撃での最大獲得が3000枚となる規制を5.9号機から導入したわけです。
さて、ここまで規則改正に至る背景などをお伝えしてきました。いやぁ、長かった。そして、ここからが本題です。4号機から5号機へと時代が変わり、ベニヤでシマを閉鎖していたあの時代からいかにして復活してきたのか。登場した機種を交えながら5号機の歴史について振り返っていきたいと思います。
先述のとおり、5号機への規則改正が実施されたのが2004年7月。まず、登場したのが『CRP花月伝説R』。メーカーはSANKYOです。登場は2005年7月。
時期的には規則改正から1年が経過しています。やはりというか新規則に対応した機種は、規則改正後すぐに登場できるわけではなく、1番早い機種でも1年を要したことになります。
ちなみに、この機種はパチンコ玉でスロット風のゲーム性を味わえるパロット。打ったことある人います?
パロット自体見なくなって久しいですが、10年くらい前まではたまに見かけました。導入直後、どんなもんかと設置店に突撃したのですが、スロコーナーを探してもなく、パチコーナーにひっそりこっそり置いてありました。そりゃそうですよね、玉で遊ぶ機械ですから。5玉=1枚換算で、15玉で1回回せる計算です。BETして玉がINして回って……。なんじゃこりゃ!? スピーディーさが売りのパチスロとはちょっと違う、間が持たない雰囲気にこれからこれの時代が到来するのかとガッカリした記憶があります。
その3年後くらいに、好きだったパチンコ『フィーバー電車でGO!』のパロット『電車でGO!2』が出て打ってみたのですが、パロットへの評価は変わらずそれ以来触れてません。パロットの組合「日本新遊技機開発工業会(新遊工)」もいつの間にか解散してましたね。でも、6号機の規則の中にパロットのことも記載があるので、もしかしたら……。
次に登場したのがパチスロ5号機1発目となる『新世紀エヴァンゲリオン』です。2005年10月のことです。メーカーはビスティ。
『CRP花月伝説R』を出したSANKYOのグループ会社です。ゲーム性は、ボーナス+RT。ボーナスは約350枚のBBと約96枚のRBがあり、RB後に100GのRTに突入します。RTの純増は1Gあたり約1枚。50枚で回せるゲーム数は、設定1で約45.5G、設定6なら約52.6G。それまでだいたい1000円で30G前後という感覚でしたから、そりゃあもうかったるい印象を持ったものです。
ボーナスと小役の同時当選はなく、スイカまでスベって小役がハズれてボーナス確定という、リーチ目でボーナスを察知するオーソドックスなタイプです。そして、5号機でダメになったボーナスと小役の同時入賞を避けるため、チェリーは右リールに出現して払い出しが得られる役構成となってました。ベースが高く、ボーナス確率が低めの、勝つにしても負けるにしても穏やかなスランプグラフを描くスペックでした。
以後、ボーナスのみのノーマルタイプやボーナス+RTのタイプが続々と登場していきます。
続く。