パチスロ5号機の歴史(その3)~もうすぐ終わる!? 5号機時代~
5号機時代の初期は、ボーナスだけのノーマルタイプか、RT機能があるボーナス+RTタイプのどちらかにジャンル分けされるほど、登場する機種はこの2タイプばかりでした。
ちなみに、RTはリプレイタイムの略。そもそも、リプレイ確率は7.3分の1以上であることが規則で決められていて、RTに突入することでさらにリプレイ確率のアップが可能です。
RTの突入条件については、ボーナス成立時やボーナス終了時、特定出目が出現したときなど、規則の中で明記されています。このRTをゲーム性にどう活かすか。やっていいことダメなことが薄ぼんやりしているこの時期は、やっていいこの部分、つまりRT機能で差別化を図ろうとメーカー各社様々なアイデアを出しました。
▼前回の特集記事はコチラ
パチスロ5号機の歴史(その1)~もうすぐ終わる!? 5号機時代~
http://www.pachinkovillage.com/news/?p=46474
パチスロ5号機の歴史(その2)~もうすぐ終わる!? 5号機時代~
http://www.pachinkovillage.com/news/?p=47374
(C)GAINAX/Project Eva.・テレビ東京
(C)Bisty
初のパチスロ5号機となった『新世紀エヴァンゲリオン』にもRTはありました。
RTの突入条件はREG後で、終了条件は100Gの消化orボーナス成立。
そして、前回紹介した『デビルマン』にはボーナスが成立しても100G完走できる完走型RTが搭載されていました。
この完走型RTにはBB後に突入し、1G純増約1枚の性能があるため完走すればBBでの300枚+RTの80枚=平均380枚程度の獲得が見込めたんですな。4号機のA400タイプのような枚数を獲得できることで、それまで慣れ親しんだ4号機のノーマルタイプに近い出玉感を実現していたわけです。
今でこそ312枚のBBに馴染んでいますが、5号機への移行期は300枚のBBに少なッ!!となったもんであります。4号機中期頃からデカくなった下皿だと300枚はやっぱり少ないんですよね。
5号機になってしばらく経ってからでしょうかね。下皿が小さくなり、浅くなり、ドル箱も小型化していくのは。そうやって出玉感を演出しないと、どうしたって少ない印象はかき消せませんからね。6号機時代になるとそこはどうなるのやら……。
(C)タツノコプロ (C)BANPRESTO
(C)Sammy
『デビルマン』と同じ時期、2005年11月にサミーから登場した『出ましたハクション大魔王』では1000GのRTが搭載されていました。
4号機の『ハクション大魔王』は設定6の出率が160%とも言われた超ハイスペックマシン。6を掴めば万枚は当たり前、2万枚も射程圏内という恐ろうれしいマシンです。
当時、6判の早い『獣王』を狙うか、ツモったらデカい『ハクション』を狙うか、ワクワクしながら開店を待ったもんです。そりゃあ閉店前から並ぶヤツらも出てきますわな。閉店後に並ぶと、その日ツモって打ち切ったヤツらも並んでしまうため、機先を制すため閉店前から並ぶわけです。日中はホールの中、夜はホールの外。もうね、1日がホール絡みです。なんならそこで1日が完結します。完結できます。知り合いはラブホ暮らしでそんな生活をしていましたが、それが成り立つのも頷けます。
この頃は技術がどうのこうのというよりも根性第一の体育会系みたいなもんです、毎日が。体育館燃えてないかなぁとか、グラウンドにミサイル落ちてないかなぁと思ったことないですか、学生時代。暴力と暴言が時代を支配する古き良くない時代です。グラウンドが池になってたくらいじゃ部活が休みになるなんてことはなく、スポンジで水を回収後にいつもの部活やるなど、そんなの当たり前の時代でした。
そんな育ち方をしていれば閉店前から並ぶのだって苦じゃありません。
仲間とゲームしたり、交代で寝に行ったり。待ち時間を稼働時間に加え時給をはじき出しても、6を掴めば大勝できる時代。
古き良き時代です。おっと、爆裂4号機時代の話をすると、長くなるので話を戻しましょうかね。
そんな爆裂時代を象徴するタイトルだった『ハクション大魔王』。それが5号機として復活するのだから、期待しちゃいますよね。5号機の枠組みの中でどうやってくるのか。そんな期待は……やっぱり裏切られませんでした!
なんと1000GのRTが搭載されていたんです。RT「ドキドキタイム」の1G純増が約0.8枚ありましたからRTだけで800枚の獲得が見込めたんです。まぁ、このRTは完走型ではないためボーナス成立で終了したんですが、ボーナス合算確率は設定1で324分の1。まぁまぁロング継続できそうな確率です。ただ、この1000GのRTには9362分の1のRB後にしか突入しないため、1日1回拝めるかのプレミアムでした。だから、突入したときはボーナス引くな引くなと優しくレバーをなでてました(笑)。
この機種のうれしい点は、ボーナス後にもれなくRTに突入する点です。『新世紀エヴァンゲリオン』ではRB後のみ、『デビルマン』ではBB後にのみRTに突入していましたが、この機種では、ボーナス後に100%でRTに突入したんですな。BB後は揃ったBBの種類でRTの継続ゲーム数は変化し、赤7揃いだと180G継続=約144枚が見込めたわけです。これだけ増えるとちょっとしたボーナスですよね。BBの獲得枚数が約230枚なので、完走できれば結構な枚数を上乗せできます。
一方で、RT突入直後のボーナスはほんとテンション下がりました。赤7揃い後は特に。うれしいはずのボーナスなんですが、どうせ引くならRT終了直後にしてくれなんて思ったりするのもまたスロッターの性でしょう。常にベストなヒキを期待する。ときにその神懸かったヒキが降臨するもんだから、自分スゲーみたいな。よくやった自分。それで、ますますパチスロにのめり込むわけです。身近でこれほどまでに達成感を得られるものってそうそうないし、運ゲーなのにその運が割りと引ける範囲にあるのも魅力なわけです。勝ったゼニーで飲むも良し、買うも良し。ゼニーありきかもしれませんが、勝った負けたの身近な勝負事は5号機となっても存続可能だと、この辺りで再確認できた次第でもあります。
(C)吉沢やすみ/オフィス安井
(C)Sammy (C)RODEO
2006年1月に登場したロデオの『ど根性ガエル』ではボーナス成立まで継続のRTが搭載されていました。いわゆる無限RTっていうヤツです。無限RTと言うと敷居が高そうに聞こえますが、この機種の場合はそれほど高くありません。
この機種は、ボーナスがスーパーBB(赤7揃いと異色揃い)とノーマルBB、RBが存在します。スーパーBB後は30Gの、RB後は20GのCZ「ど根性タイム」へ突入し、そこで黄色のピョコン図柄(特殊リプレイ)が揃えば無限RTへ突入となります。CZ中の特殊リプレイ確率は、スーパーBB後が約40分の1、RB後は約43分の1。引けそうな確率ですよね。
ここから算出すると、RT突入期待度はスーパーBB後で約53%、RB後で約35%ありました(いずれも設定1の数値)。RT中の1G純増は約0.8枚。ボーナス合算確率は設定1で約245分の1、設定6で約195分の1でしたから、仮に200G継続したとすると160枚獲得できた計算です。無限RT中ほどボーナスを引くな引くなと願いながら打つわけですが、ボーナスを引いたときのガッカリ感は半端ないものがありましたね。パンクという表現がピッタリかも。
この無限RTの仕様は低設定ほどボーナス確率が低い=ボーナスが引けない=RT中に増える=恩恵が大きい仕組みで、低設定こそ本領発揮の場でした(笑)。無限にぶち込みボーナスを引かない。ボーナスを引いてもまた無限RTに入れて大ハマリさせる。この手のマシンのドル箱を積み上げる方程式です。
ちなみに、ノーマルBB後は2Gだけ内部的にCZへ突入しましたが、特殊リプレイ確率が13107分の1とほぼ無限RTに移行しない設計値です(泣)。こっちは本当がっかりボーナスでした。
(C)STP・タツノコプロ/むぎむぎ団
そして、2006年2月。衝撃が走ります。
『ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて』の登場です。メーカーはジェイピーエス。
萌え系アニメが原作のパチスロなんですが、その見た目とは裏腹に内部仕様が硬派?でした。
この機種、約286枚獲得のBBと約188枚獲得のCTの2種類のボーナスを搭載し、ボーナス後は60GのRTへと突入します。
このRTですが、消化中にRT目が出現すると残りRTが2Gになってしまうため、目押しでそれを回避する必要があったんです。
1枚役「青7・青7・チェ」を取りこぼすとRT目が出現するほか、スイカ取りこぼしの一部でもRT目が出現しました。1枚役の確率が約65分の1、スイカが約75分の1前後でしたから、そこそこ出現する頻度です。
RT中は、レバーON時に「ムギー♪」と音声が発生したら1枚役の成立サイン。上部パネルも点滅するためそのサインを見逃す聞き逃すことはほとんどないけれど連続演出中はそれが発生しないもんだから注意が必要だったんですな。ま、逆押しすればRT目が出現しないため逆押し消化が安全策ではありましたが……。
http://www.jps777.com/oldslot/slot01.html より
(C)STP・タツノコプロ/むぎむぎ団
メーカーホームページの機種情報でもプチRTについて説明があるなど、それまでの機種とは違ったゲーム性がそこにはありました。
それまで、RTにはボーナス終了後に突入し、規定ゲーム数の消化orボーナス成立でRTは終了というのが一般的でした。ですが、この機種は小役の取りこぼし目をRT移行目として活用し、RT中の書き換えも可能でした。
通常時からでも突入する2GのプチRTや、RT中のパンク回避としての技術介入性などを持たせたRTの仕様は、その後の様々な機種に影響を及ぼします。この機種がその後に果たした役割は大きく、当時この機種は大絶賛されました。
新規参入メーカーのジェイピーエス恐るべしと。新規参入ゆえ、設置台数こそ伸びませんでしたが、打つ人打つ人高評価の嵐。好きな機種、偉大な機種に挙げる人が多かったのも当時の印象深い出来事です。
(C)TRADE (C)jps
ちなみに、5号機初の天井機能を搭載したのもジェイピーエスです。
時期は2006年10月。機種は『ホークIII』。
ボーナス終了後、978Gハマると天井RTに突入し、以後ボーナス成立まで1Gあたり約0.17枚程度の増加が見込めました。増加というよりは、現状維持しながらボーナスが待てるっていう感じでしょうか。
この天井RTの仕組みはこうです。通常時とRT中が実は内部的に逆で、通常時と思ってプレイしているのが実はRT中だったりします。
とは言え、リプレイ確率は7.3分の1ですから、普通の機種の通常時と変わりません。
それを、RTの終了条件である「規定ゲーム数の消化」をうまく活用し、規定ゲーム数消化後に落ちる通常時のリプレイ確率を1.6分の1まで上げてRTっぽく見せているわけです。
僕らはだまされていたんですね。通常時と思って打っているのがまさかのRT中で、喜んで打っている天井RT中が実は通常時という。
まぁ、打ち手としてはどっちでもいいんでしょうが、このやり方があったのかと当時感心させられました。
その後登場の『2027』が大ヒットするなど、ジェイピーエスの発想と技術力は5号機初期のパチスロ界において頭一つ抜け出している印象がありましたな。
RTについての話はまだまだ続きます。