パチスロ5号機の歴史(その5)~もうすぐ終わる!? 5号機時代~
5号機を歴史を振り返る特集は今回で5回目。
2004年7月の規則改正、そして2005年10月に5号機パチスロ1発目として『新世紀エヴァンゲリオン』が登場した話をしてきましたが、前回までの4回で進んだのは期間にして1年ちょい。恐るべし、5号機勃興期。
いろいろなことが試行錯誤の中生まれ、話題性に事欠かない時期だったというのもありますが、まぁ冷静にこのペースで振り返っていたら、5号機のラスト、5.9号機の話はいつになるのかと不安になるわけです。
▼前回の特集記事はコチラ
パチスロ5号機の歴史(その1)~もうすぐ終わる!? 5号機時代~
http://www.pachinkovillage.com/news/?p=46474
パチスロ5号機の歴史(その2)~もうすぐ終わる!? 5号機時代~
http://www.pachinkovillage.com/news/?p=47374
パチスロ5号機の歴史(その3)~もうすぐ終わる!? 5号機時代~
http://www.pachinkovillage.com/news/?p=49514
パチスロ5号機の歴史(その4)~もうすぐ終わる!? 5号機時代~
http://www.pachinkovillage.com/news/?p=51478
過去は美化されやすいもの。
そうわかっていても、昔を振り返れば振り返るほど、愛着のある機種、いい思いをさせてもらった機種など、つい先日のことのように思い出されます。
目を閉じなくても、椅子に座って向き合っている感じなんかが脳裏に映し出され、あの楽しかったときにいつでも戻れます。
都合よく脳内トリップできちゃうのはパチスロと記憶が見事に融合しているからなのか、あるいはただの妄想なのか。いずれにせよ、濃密な時間を共に過ごした戦友という点だけは確かな事実です。
そんなスローペースで5号機を振り返っていたところに、4月からの自主的措置の話が降ってきました。
それによると、ちょっと前のような1G純増3枚のAT機が作れるとか作れないとか、現在設定差を付けられない部分にも設定差を付けられるようになるとかならないとか……。
実際、そういう機種が出て来るまではよくわかりませんが、少なくとも現時点よりゲーム性の幅が広がることは間違いないでしょう。
うかうかしてはいられませんな。
この「5号機の歴史を振り返る」が完結する前に、5号機がホールから消えてしまうかもしれませんから。
そうなるまでにこの振り返り特集もエンディングを迎えねばなりません。
まぁ、それは大げさかもしれませんが、あと最大3年弱設置可能な今ある5号機も6号機時代には1時代前のモノとなり、またどこかでギャンブル依存症などの話題が出ればそれじゃあ速やかな撤去を促しましょうなんてことにもなりかねませんからね。
ましてや、2万枚出た実績のある機種なんてリスト化されてますから、何かあったときにまず消えるのは夜や土日に大人気のハーデスや凱旋などの旧基準機でしょう。
今回の自主的措置で新型6号機と5号機の入れ替えがスムーズに進んだ暁には検定の残り期間に関係なく旧基準機の撤去が前倒しになる可能性もあるのかも……なんて、スマホ見ながら凱旋を打ちながらそのニュースを解釈していた次第です。
残り少ない時間、戦友に活躍してもらいましょう。
さてさて、歴史の続きに戻りましょう。
前回、リプパンハズシやRTループの話をしました。今回はその続き。2007年の話です。この年もまた様々なゲーム性の機種が登場し、その結果、パチスロから遠ざかっていたプレイヤーが徐々に戻ってきた印象を受けます。
銀座『リングにかけろ1』
前回、2006年4月『ボンバーマンビクトリー』でリプパンハズシが世に出て、2006年10月の『スパイダーマン2』で万枚が意識され始めた話をしました。 そして2007年3月、
銀座から『リングにかけろ1』
が登場します。 この機種も『スパイダーマン2』と同じボーナス+RTの仕様でした。
ボーナスはBBとMBが存在し、同色BB後はRT200G、異色BBやMB後はRT100Gに突入となり、RT中はリプパンハズシをしながらボーナスを絡め出玉を増やすシステムです。
RTの1Gあたりの純増は0.4枚と少ないながら、設定6の出玉率は驚異の119.99%。この機種もまた万枚が期待できるスペックです。
当時、この「リンかけ」と「スパイダーマン2」がホールのツートップで、イベントともなると真っ先に埋まる大人気機種でした。
だって、リンかけなんて設定5でも出玉率114%と破格で、設定4でも108.6%と他機種の設定6くらいのスペックを有していたんですから。4号機時代を思い出させる別積みもこの頃やっと見かけるようになりました。
左:サミー『仮面ライダーDX』 右:タイヨー『科学忍者隊ガッチャマン』
「リンかけ」の1ヵ月前に登場したこの2機種もまたハイスペックという点で人気を集めました。
サミーの『仮面ライダーDX』
はリプパンハズシタイプで設定6の出玉率が118%超。
ボーナス後は最大2000GのRTに突入するものの、パンク回避のナビが回数方式だったので、ナビがなくなったら自力でハズすというヒリヒリ感が味わえました。
一方、
タイヨーの『科学忍者隊ガッチャマン』
は、ボーナス+AT+ART
という一風変わったシステムを搭載していました。
こちらの出玉率は公表されていませんでしたがかなり高めだったように思います。
ATはオマケ要素で、いくつか突入契機があるんですが、例えば通常時のベルが揃った3G以内にチェリーが入賞すれば9GのATに突入しその後転落抽選とか、RB中に8連続ベルなら100GのATに突入するとか、状況によって継続ゲーム数が変わりました。
ARTには特定のボーナス後に突入し、パンク役の1枚役をハズしつつナビが発生するチェリーを獲得するというもので、ART500Gに突入するボーナス確率が設定1で2114分の1、設定6で655分の1と大きく差が付いていました。
ARTに突入しないBBも設定1で809分の1、設定6で3121分の1と開きがあったため、周りの台のボーナスをチェックするというのがこの台の攻略法でした。
マイナーメーカーゆえ導入期こそ人気はありませんでしたが、6判までのスピードと出玉性能が知れ渡るにつれ一気に脚光を浴びた機種でもあります。
出る6、わかりやすい6、みんな大好きですから! ハイスペック機の稼働を見て「出玉は正義」というのを再認識した時期でもあります。
北電子『アイムジャグラーEX』
そんなハイスペックたちを横目に、大ヒット機種の5号機一発目としてこの機種も登場していました。
北電子の『アイムジャグラーEX』です。
2007年1月のことです。「ジャグラーシリーズ」というとおじいちゃんおばあちゃんの憩いの場という印象があるかもしれませんが、4号機終盤はプロ御用達のマシンでもあり、これで食いつないでいたプロも多くいました。
下が甘く、上は出る、それでいてホールでの扱いもいいんですから、プロたちが群がるのも当然です。
しかし、4号機だからこそできたその優秀なスペックは5号機で実現できるわけはなく、この5号機一発目のジャグラーは、設定1で95.9%、設定6で105.2%という出玉率でした。
現役最低のスペックと言っても過言ではないでしょう。メーカー公表値(市場平均予想)とはいえ、これは辛すぎます。
なので、プロたちは目もくれなかったんですが、おじいちゃんおばあちゃんたちにはスペックどうこうは関係ありません。
目の前にジャグラーがあって、ペカりさえすれば良かったんです。
新しく追加されたボーナスとチェリーの重複フラグも当初どうなるかとヒヤヒヤしていましたが、それもすんなり受け入れられちょっと不思議な印象を受けたもんです。
ちょっと知識がある人なら先ペカしても契機を特定しようとチェリーを狙うのに対し、おじいちゃんおばあちゃんはそのままぶっ込みますからね。この機種が市場に受け入れられ、良好な稼働をキープし続けたときの安堵感っていったら半端ありません。
このジャグラーがダメだったら5号機も終わりだなんて言われましたが、決して大げさな表現ではなくそれくらいこのジャグラーの成否が注目を集めたわけです。
これがあるから今がある。貢献度は計り知れません。
SNKプレイモア『スカイラブ』
2007年2月頃、よく打っていたのがこの機種です。
SNKプレイモア『スカイラブ』。
朝の抽選が良ければハイスペックに突撃し、ダメならミドルスペックのこの機種へと流れることが多くありました。
軽いボーナスと、CZとRTのループシステムなど、ゲーム性と世界観にどっぷりハマったんですな。
あの軽快なテーマソングも大好きでした。
4号機終盤の2004年に『メタルスラッグ』でパチスロ業界に参入し、豊富なゲーム版権を武器にしつつオリジナル作品を多く輩出していたのがこのSNKプレイモアで、この『スカイラブ』で一躍人気メーカーの仲間入りを果たしました。
その後は『シスタークエスト』など特徴あるオリジナル機をコンスタントに出すなど、個人的に好きなメーカーでした。
銀座『うる星やつら』
2007年5月、5号機初の大量獲得機が登場します。
銀座『うる星やつら』です。
BB1回で448枚獲得でき、300枚ちょっとの一般的な機種の約1.5倍の出玉感になります。
とは言え、448枚のハイパーBBの確率は2000分の1程度。かなり重めです。
この機種、通常時にチャンス目が出現すると10G程度の演出用プチRT「ガールハントタイム」に突入するんですが、突入と同時に9種類あるボーナスの絞り込みがスタートし、確率の高いボーナスから順に狙っていくわけです。
だんだんボーナスが絞り込まれていく中、演出的にはボーナス濃厚なのにまだ揃えられてないというときのサプライズ感、結構好きでした。
翌月登場のロデオ『デビルメイクライ3』にも448枚BBが搭載されていましたが、この手のタイプはどうしてもボーナスが重めになり、そしてまた通常時のベースが50G程度と高くなってしまうためダラダラしやすい特徴があります。
同じ月に登場した大都技研『シェイクII』も同様で、412枚BBとベース50Gのバランスが受け入れられずヒットには至りませんでした。
その後も大量獲得機は登場しますが苦戦を強いられます。
タイヨーエレック『マーベルヒーローズ』
2007年7月、
タイヨーエレックから登場した『マーベルヒーローズ』
には、とある機能が搭載されていました。
5号機初となるART中のゲーム数上乗せがあったんです! 今となっては当たり前のゲーム数上乗せですが、当時としては斬新でした。
この機種のシステムはボーナス+RT+ART。
通常時はRT状態が頻繁に移行し、チャンスモード中にXゲート(2コマ図柄)が出現すればRT「マーベルチャンス」に移行、そこでミッションをクリアすればART「スーパーマーベルチャンス」に突入となる仕組みです。
ART突入後はXゲートでゲーム数を直乗せすることもあればボーナスで乗せたりとイケイケ感満載でした。
Xゲートをしっかり狙わないと損をしたり、それまでにない複雑なゲーム性ゆえ初心者向けではありませんでしたが、好きな5号機としてよくランクインするなどコアなファンが多い機種でもありました。
内部システムがどうなってるとか、こんなこともできるんだと学べる教材としても一級品でしたな。
操作性の悪さだけが唯一の弱点かなぁ。
設定6の出玉率が119.9%とめっちゃ出るマシンなんですが、打ってるときのストレスとか一日打ち切ったあたの疲労感とかハンパなかったです。
それでもまた打ちたいと思えるほどの完成度でした。
ビスティ『新世紀エヴァンゲリオン-まごころを、君に-』
この機種の登場は、ホール内を一変させました。
ビスティ『新世紀エヴァンゲリオン-まごころを、君に-』です。
2007年7月のことです。それまで小役カウンターを使用しているのはライターなど業界関係者がほとんど。
それが、この機種の登場を境に、一般プレイヤーのマストアイテムへと変化し、小役を数えながら打つというパチスロ文化が生まれました。
元々のコンテンツ力に加え、設定推測しながら打つ楽しさを教えてくれたこの機種の貢献度は計り知れないものがあります。
エヴァまごの愛称で多くのプレイヤーから慕われ、その後ノーマルタイプと言えばエヴァという地位を確立した立役者でもあります。
ネイルのように小役カウンターに装飾を施すパチスロ女子がこの頃から徐々に多くなりました。
ジェイピーエス『2027』
この機種もまた一際輝きを放っていました。
ジェイピーエスの『2027』です。
エヴァまごと同じ時期のことです。
ボーナス+ARTの仕様ながら、ボーナスではなくARTで出玉を増やすゲーム性です。
ボーナス内部成立中のリプレイ確率アップをうまく利用し、1セット20GのART「バトルモード」が70%から95%で継続していくそれまでにないシステムでした。
ARTの継続抽選から漏れたときにやっとボーナスを揃えるんですが、ストーリーに夢中になってしまいART中にうっかり揃えてしまいそうになるなんてことも……。
非常に危険な機種でした(笑)。
ボーナス優先制御時代のあるあるですが、それだけ物語の完成度は高かったわけです。
自分では到底辿り着けない物語の深部を見ようと、ロング継続している人の後ろに立ち見ができるなんてこともよくありましたっけなぁ。
業界内では、ジェイピーエスの開発力恐るべしと再び話題になりました。
山佐『戦国無双』
2007年8月に登場した
山佐の『戦国無双』
も話題性抜群でした。
人気ゲームとのコラボマシンで、BB後にもれなく突入するART「戦国ラッシュ」は選択した主人公によってリプパンハズシのナビが変化するシステムでした。
真田幸村はパンク役成立時にナビ発生を抽選するタイプ、前田慶次はノルマ回数ぶんパンク役を自力回避すればボーナス成立まで継続の無限ARTへと昇格するタイプ、服部半蔵はナビ獲得タイプと、3者3様のゲーム性を実現していました。
中でも慶次の人気が特に高かったように思えます。
無限にぶち込み、あとはボーナスを引かないだけ。
ボーナス確率の低い設定1の本領発揮の場でもありました。
左:KPE『マジカルハロウィン』 中:アリストクラート『パチスロ哲也-雀聖と呼ばれた男-』 右:山佐『機動戦士ガンダムII-哀・戦士編-』
2007年に出た機種の中で個人的に好きだったのが、
KPE『マジカルハロウィン』、アリストクラート『パチスロ哲也-雀聖と呼ばれた男-』、山佐『機動戦士ガンダムII-哀・戦士編-』です。
マジハロは一度聞いたら耳から離れないあの楽曲、哲也はボーナスとARTのバランスの良さ、ガンダムは演出とマッチした完走型RTのシステムが大好きでした。
特にガンダムは2007年12月の登場でしたが、それからしばらくはこればっかり打っていました。
程良い設定推測要素と、甘めなスペック、そして何よりガンダム世代の心くすぐる哀・戦士編ということで、朝はとりあえずガンダムからの日常でした。
年が明けて2008年。この年、パチスロのゲーム性はさらに進化を遂げます。
イレブン『押忍!!空手部』
2008年3月、
イレブンから『押忍!!空手部』が登場。
5号機初の押し順ナビによるARTを搭載するなど、のちに多大な影響を与えた機種です。
ボーナス終了後は45GのCZへ移行し、45G間に転落目を引かなければ1セット333Gの完走型ARTへと突入です。
ART中にボーナスが成立しなければ次セットへ継続する特殊な無限ARTのシステムでした。
ただし注意点が一つ。ボーナス優先制御だったので、押し順がナビされたときでもボーナスを避ける必要があったんですな。
せっかくの完走型なのに、ボーナスのうっかり入賞で飛ばしてしまっては元も子もありません。
小役優先制御が可能となるのはもうしばらく先のことで、このように気を遣いながらプレイする機種は当時よくありました。
山佐『パチスロキン肉マン』
4月に登場した
山佐の『パチスロキン肉マン』。
4つボタンが異彩を放つ機種ではありましたが、設定6のハイスペックぶりと見抜きやすさから、すぐにプロ連中のターゲットに。
設定6が期待できるイベント日にはこの機種から真っ先に埋まるなど、判別のスピードはピカイチでした。
個人的には、毎月29日はキン肉マンの日。
並び順のホールに早朝から並び、1時間もすれば6か否かが判明。
効率のいい機種でした。
この機種を打ったあと、3つボタンの機種を打つとあるはずのない4つ目を押しているのは山佐あるあるでした(笑)。
そしてこの時期、大きな転換点を迎えます。
技術上の規格解釈基準の変更です。
つい先日も6号機のそれが警察庁のHPにアップされましたが、ゲーム性を大きく左右するこの部分はパチスロ設計の重要な要素。
メーカーの組合「日電協」などが陳情し9項目の緩和が認められ、その結果、小役優先制御が可能となったり、各種フリーズが搭載できるようになったりと、今に続くゲーム性が生まれるきっかけとなりました。誰もが簡単に楽しめる押し順ARTや、フリーズ演出を用いたプレイヤー参加型アクションなど、その後何年にも渡ってゲーム性の柱となる機能が可能となったわけです。
これを境に、パチスロ5号機のゲーム性は飛躍的に向上していきます。
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