【パチンコ一発台特集】温故知新 知られざるパチンコ台の歴史にズームアップ ★ 一発台編(その2)
▼前回の記事もチェックだ!
温故知新 知られざるパチンコ台の歴史にズームアップ ★ 一発台編(その1)
一発台では出玉を稼ぐ役物として使用された
さて、前回の続きである。昭和60年に登場した『フレンド』という一発台がある。マルホン工業が得意としていた完全一発タイプで、天下に玉が飛び込めば大当たりという極めてわかりやすい機種だ。大当たり後はステージ(スライド板)が引っ込むので、役物に玉が入りやすくなる。賞球数がオール15ということもあり出玉スピードは速く、完全一発タイプとして人気を得た。ただ、役物は出玉を稼ぐためだけのものである。
インターネットで検索しても出てこないが、昭和54年に平和が発表した普通機に『フレンド』がある。機種名が同じなのでもしかすると……と思って役物を見ると全く同じだ! そう、マルホン工業の『フレンド』は平和の『フレンド』の役物を使っていたのである。ちなみに、平和の『フレンド』は天かその下左右から入賞するとステージが引っ込んで役物に玉が入りやすくなる、という仕組みの普通機である。
どちらもあまり知られていない機種かもしれないが
次は『エールマシン』。といってもピンとこない人のほうが多いかもしれないが、ニューギンが昭和59年頃に発表した機種だ。天下に入賞すると5角形に近い回転体が反転し、その下にある役物への道ができる(ちなみにこの5角形の回転体はその1年ほど前に発表された『ハリケーン』(羽根モノの『ハリケーン』とは異なる)にも搭載されていて、当時、若干メジャーになりかけた回転体である)。役物に入った玉はその下にあるいずれかの穴に入る。入った穴によって5つあるチューリップのどれが開くかが決まるわけだ。
釘調整次第では大量出玉も可能なこの『エールマシン』。機種名の由来は、下部に搭載された役物の名前にある。では、元祖となった機種は何なのか? それは、昭和56年9月に西陣が発表した『パワーエールマシーン11』だ。ゆっくり遊べる普通機で、盤面中央に鎮座する役物がまさにエールマシーンである。3年の歳月を経て復活した際に『〜マシーン』から『〜マシン』になっているが、恐らく意味はない。
『メガトロン』に前身機があった!?
この項目の最後に紹介するのは藤商事の『メガトロン』だ。昭和63年に発表され、ホールをざわつかせた一発台である。盤面中央の役物中央下を玉が通ると、その下にあるベロ状の板が0.2秒×5回、飛び出る(ちなみに、開放時間を0.5秒とか3回とか書いている雑誌やwebもあるが、0.2秒×5回が正解だ)。そのわずかなチャンスを活かして玉がベロに吸い込まれれば大当たりになる。つまり、まずは役物中央下に玉を通し、次に流れてきた玉がベロ役物方向に行かないと大当たりにならない。大当たりまでに最低でも2個の玉が必要なタイプである。
この役物、キングとクィーンが描かれているから、仮にトランプ役物と命名しよう。これも、『メガトロン』としてホールに設置されるまでに、どこかで活躍していなかったのか。調べてみると面白いことがわかった。昭和61年秋に発表された『トランプ8』という奥村遊機の電役機として使われていたのだ。役物に入った玉が中央下に入ればその下部にあるチャッカーに入って……というゲーム性であり、『メガトロン』にあるようなベロはない。このトランプ役物の元祖が『トランプ8』なのかどうかは不明だが、少なくとも『メガトロン』発表前に同じ役物を使ったパチンコ台が発表されていたのは間違いない。
このように、過去のパチンコ台を紐解くと、違うメーカーで同じ役物が年代を超えて使われることが珍しくなかった、ということがわかる。
フレンド(平和)
普通機のフレンド。6年後に一発台として復活することになるとは……
エールマシン(ニューギン)
ニューギンの『エールマシン』は出玉を稼ぐ役物として使用された
メガトロン(藤商事)
トランプ8(奥村遊機)
トランプ役物の9本のピンは、その間隔や反発しやすさなどが異なっていた