パチスロ5号機の歴史(その6)~もうすぐ終わる!? 5号機時代~
前回のラストで、2008年3月の技術上の規格解釈基準の変更の話に触れました。
それにより、小役優先制御や各種フリーズが可能となり、それまでにはないゲーム性を持った機種が続々と登場していきます。
▼前回の特集記事はコチラ
パチスロ5号機の歴史(その1)~もうすぐ終わる!? 5号機時代~
http://www.pachinkovillage.com/news/?p=46474
パチスロ5号機の歴史(その2)~もうすぐ終わる!? 5号機時代~
http://www.pachinkovillage.com/news/?p=47374
パチスロ5号機の歴史(その3)~もうすぐ終わる!? 5号機時代~
http://www.pachinkovillage.com/news/?p=49514
パチスロ5号機の歴史(その4)~もうすぐ終わる!? 5号機時代~
http://www.pachinkovillage.com/news/?p=51478
パチスロ5号機の歴史(その5)~もうすぐ終わる!? 5号機時代~
http://www.pachinkovillage.com/news/?p=54042
小役優先制御とはなんぞや。
今のプレイヤーにとっては当たり前なことなので、逆にボーナス優先制御ってなんだろうと思うかもしれません。
ボーナス優先制御の機種と言えば、現存する機種では『アイムジャグラーEX』や『マイジャグラーIII』などジャグラーシリーズの多くが該当しますが、『ハッピージャグラーVII』や『みんなのジャグラー』などジャグラーシリーズの中でも小役優先制御の機種は存在します。
小役優先制御を簡単に説明すると……。
パチスロのリール制御において、役が成立した場合、それをリール上に揃えようと制御(コントロール)されます。
引き込み範囲内(最大4コマスベリ)に対象の成立役があれば必ず引き込まなければなりません。
4号機ならその限りではなかったんですが、5号機ではそういう約束事ができました。
ここに、『アイムジャグラーEX-AE』のリール配列があります。
左リール5番のチェリーを毎ゲーム中段or下段に狙ってプレイするとします。
「角チェリー」成立時は、チェリーが下段に止まって2枚の払い出しがありますが、5号機になって可能となった「角チェリー+ボーナス」のような重複役が成立した場合、ボーナス優先制御の『アイムジャグラーEX-AE』はチェリーを蹴って7が降ってきます(&ペカ)。
この場合、当然払い出しはありません。
そして、ボーナスは単独成立だったのか、チェリーとの重複だったのかわかりません。
一方、小役優先制御の機種なら、角チェリーが出現し2枚の払い出しを受けられたうえ、ペカりますからチェリーとの重複フラグだったとわかります。
このようにボーナス優先制御の機種だとボーナスの契機を特定できなかったり、本来獲得できるはずの小役を獲得できなかったりするデメリットがあります。
その点、小役優先制御の機種だとボーナスの契機を見極められ、小役の獲得をボーナスで阻害されないメリットがあります。
以上のことから、ボーナス優先制御の機種の場合、ボーナス図柄を引き込まない場所を狙いつつ小役をこぼさないポイントを狙うのがセオリーとなります。
『アイムジャグラーEX-AE』だと、左リールから止める場合、5番チェリーを早め(枠上3コマから上段)に狙うか、あるいは14番チェリーを早め(枠上から中段)に狙う必要が出てきます。
早すぎると、「角チェリー+ボーナス」が成立した場合に、チェリーの下にある7が残ってしまい、ボーナス契機を特定できない+チェリーの払い出しが受けられないため、早すぎるのだけは禁物です。誰でも簡単に打てるがコンセプトのジャグラーシリーズですが、しっかり打とうとすると一般的なパチスロ同様、小役狙いをきちんとやる必要があるんですな。
まぁ、ボーナス契機がどうのこうのとか、チェリーの取りこぼしがどうのこうのという層は、ジャグラーシリーズのシマにはあまりいないのかもしれませんが……。
その点、小役優先制御の機種なら、「角チェリー+ボーナス」が成立した場合、早めに押してもチェリーが降ってきてくれるので、ボーナス優先制御の機種ほど神経質にならなくてもいいわけです。
そういう面からも、2008年は転換機でした。
5号機初期の頃は、ボーナス優先制御しかありませんから、それ特有の出目を楽しんだり、ボーナス成立後でも停止型から成立小役を見抜いて小役を取る小技などもありました。
でも、そんな機種も今はもう絶滅危惧種。
目にするのはジャグラーシリーズ(一部)くらいでしょうか。
小役優先制御は、ボーナスが成立しても規定ゲーム数まで消化できる「完走型RT」との相性が良かったりしますが、誰でも簡単にプレイできる押し順ARTがその後台頭するようになり、だんだんとボーナスのみやRTのタイプから、ARTタイプへと時代が移っていきます。
そして、もう1つの緩和事項、フリーズ演出ですが、今回、ボタン停止時フリーズなど各種フリーズが可能となりました。
第3停止後、フリーズさせ、その最中にボタンを連打させたり、レバーを叩かせたりと、ゲーム性の幅が飛躍的に向上しました。
それまでも一部可能だったフリーズ機能ですが、アツさを凝縮した局面での利用など、プレイヤー参加型アクションがより派手に進化していきます。
山佐『パチスロバイオハザード』
新たなステージへの変革期でもあった2008年。評価の高かった機種が
山佐の『パチスロバイオハザード』。
個人的にもよく打ちました。
2008年6月の登場で、小役優先制御ではないタイプのボーナス+ART機です。
ボーナス確率はBBが360分の1(設定6)から455分の1(設定1)、RBが537分の1(設定6)から745分の1(設定1)と、4号機時代のAT機のようなボーナス確率です。
ART「バイオハザード」は通常ゲーム中のレア役やボーナス、ウェスカーモードと呼ばれる50GのRTなどで抽選され、どこからでも突入が期待できるゲーム性となっています。
ARTは1セット50G、1G純増約1枚と大したことはありませんが、1回の当選で10連まで期待できるなど、どことなく4号機を彷彿とさせるゲーム性でした。
そして、設定6の出率が119%超、さらにBB成立時の50%の抽選に漏れるまで継続するプレミアムARTなど、ハイスペックと一撃性の魅力は当時頭一つ抜き出た印象です。
『パチスロ「キン肉マン」』と同じ4ボタンマシンでしたが、その煩わしさはすでに払拭されつつありました。
『ニューパルサーV』や『ニューパルサーエボリューション』などほかにも4ボタン機がありましたしね。
ヤーマ『スーパージャックポット』
2008年7月に
ヤーマから登場した『スーパージャックポット』
は多彩なフリーズが注目されました。「ジャックポットシリーズ」と言えば、伝統のセグでボーナスを告知する完全デジタル告知マシンですが、本作も同様で、可能となったフリーズを様々な場面に取り入れサプライズを演出。
プレイヤーに新たな可能性を示してくれました。
この機種、天井RTが搭載されていたんですが、ハマリ台でもよく放置されてたんですよね。
天井RTが増えも減りもしない性能だったからかもしれませんが……。
5号機の天井RTは 2006年10月登場の『ホークIII』で初搭載され、一般的に存在は知れ渡っていましたが、天井ゲーム数がきっちり○○ゲームで発動じゃない特殊仕様でした。天井RTの発動までの流れは、ボーナス後に特殊リプレイが成立してから550G消化で天井待機状態となり、その状態でチャンス目出現すれば天井RTに突入するというもの。
約600Gで天井RTに突入となりましたが、特殊リプレイの成立タイミングと、天井待機状態になってからのチャンス目のヒキもあったため、発動ゲーム数はかなり前後します。見える期待値を追うハイエナ戦略が有効な現在ではハマリ台なんてすぐキープされちゃいますが、当時はまだのんびり平和な時代でした。
銀座『パチスロ ザ・ブルーハーツ』
2008年8月。規制緩和適用の押し順ART機が登場します。
銀座『パチスロ ザ・ブルーハーツ』です。
学生時代にカラオケブームの到来した世代にとっては、いつも誰かがこのロックバンドの曲を歌っていたくらい、ザ・ブルーハーツは若者から絶大な人気がありました。
システムは、ボーナスとARTを搭載し、ART「ブルーハーツタイム」は1セット36Gの完走型、1G純増は約1.2枚でした。
それまでは特定の図柄の目押しが必要だったART。
これが目押し不要となり、押し順に従うだけの簡単手順へと進化を遂げ、結果、目押しができないからと敬遠していた層や初心者にも選択肢の幅を広げる結果となります。
そう、ここから押し順ART機の時代が始まります。
あれもしたい、これもしたい、と飛躍していくわけですな。
ビスティ『新世紀エヴァンゲリオン-約束の時-』
もちろん、5号機の序盤を牽引してきたノーマルタイプ(+RT)も元気がありました。
「エヴァンゲリオンシリーズ」3作目となる
ビスティの『新世紀エヴァンゲリオン-約束の時-』
は前作『新世紀エヴァンゲリオン-まごころを、君に-』の大ヒットもあり、今作もまた大いにホールを盛り上げました。2008年9月の登場です。
小役を数えて設定推測する小役カウント文化の立役者でもある本シリーズは、ホールも無下に扱うことができず、設定を入る→人が集まる→利益が取れる→設定を入れるの好循環が生まれていました。
そんな時代をもう一度と期待したこの2月登場の『新世紀エヴァンゲリオン -まごころを、君に-2』でしたが、時代が変わったからなのか残念ながら当時のような盛り上がりはなく、ひっそりバラエティーコーナーにたたずむ姿に時代の移り変わりを強く感じます。
真556を君になんて煽ってた当時が懐かしい……。
2008年9月にリーマンショックが起こり、世界的に不況の波が押し寄せます。
そんな中、パチスロ業界はと言うと、規制緩和からのゲーム性飛躍が著しい時期でした。
誰でも簡単に楽しめる押し順ARTが市場を席巻し、業界をリードしていきます。
前年秋には4号機の完全撤去が完了し、最後まで残っていたロデオの『俺の空』も消えて1年ほどが経過していました。
4号機への執着もだいぶ薄れ、その残影に縛られることなく次の時代へ目が向けられた時期でした。
ネット『ドラキュラ』
2009年3月、ネオストック機と銘打つ機種が登場します。
ネットの『ドラキュラ』です。
KPEの『悪魔城ドラキュラ』じゃありませんよ、ネットの機種です。
液晶もなければ、上部パネルに十字架があるだけの、かなり見た目がシンプルな機種です。
この十字架が光ればボーナス確定となり、適当打ちでボーナスも揃ってしまう驚愕のシステムです。
5号機になって不可能となったボーナスのストック機能を連想させる「ネオストック」というシステムは、小役優先制御を利用したアイデアから生まれました。
通常時はボーナスが内部成立しつつもリプレイと1枚役が超高確率で成立し、それに阻まれボーナスが揃えられません。完全ハズレを引くことでやっとボーナスが揃えられ(勝手に揃う)、ボーナス後は高確率状態から始まり約15分の1でボーナスが揃います。
ボーナスは41枚獲得と少ないものの、一度ボーナスを揃え高確に上げてしまえば設定1でも20連が期待できる仕様でした。
高確中、リプレイ重複の潜るボーナスをいかに引かないかがポイントでした。
ただ、時代とマッチしなかったのか、なかなかヒットには繋がりませんでした。
大手メーカーが有名タイアップ機で出していたら、結果は違ったのかも……。
なんて声も聞かれたりしましたが、得てしてそれまでにない斬新な発想というものは、その当時は理解されず後々に評価されたりするわけで……。
その後このシステムの影響を受けたであろう機種が度々登場することからも、発想力や創造性という面では評価すべき機種だと断言できます。
サミー『怪盗天使ツインエンジェル2』
2009年3月に登場したこの機種もまた後の機種に大きな影響を与えました。
サミーの『怪盗天使ツインエンジェル2』です。
以前「ツインエンジェルシリーズ」の特集ページでも紹介していますが、この機種で携帯連動機能「マイスロ」が初搭載されました。
パチスロプレイヤーはゲームがお好き。
そんな統計データがあるとかないとかよく聞きますが、パチスロとゲームの親和性の高さは前々から言われています。マイスロという形でパチスロにゲームのやり込み要素を取り込み、レベルやミッションクリアなど目標が設けることことでパチスロでもプレイヤーの打ち込み度が増す結果となりました。
結果、ホールは大盛り上がり。
稼働に大貢献です。ボーナス+RTのシステムに加え、豪華声優陣の起用など、マイスロに頼らなくてもそれなりに評価された機種だろうと思いますが、それまでにない発想で人気を集めたこの手法はプレイヤー、そしてホールからも大歓迎されました。
以後マイスロなどの携帯連動機能が付いているかが、その機種を買う買わないの大きな材料になったことは言うまでもありません。
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