業界の環境問題についてシンポ開催 ホールでの電気料削減事例も(同友会)
東京都千代田区「東京国際フォーラム」において20日、『パチンコ業界の環境問題取り組みを考えるシンポジウム』が開催された。シンポジウムの発起人は有限責任中間法人 日本遊技産業経営者同友会 環境作業部会と、NPOアジア植林友好協会で、全日本遊技事業協同組合連合会、有限責任中間法人 日本遊技関連事業教会が後援。
シンポジウムでは、はじめに(財)自治体国際化協会支援協力部長(前・環境省地球環境局環境協力室長)の米谷仁氏が、地球温暖化の深刻な現状や、先進各国のCO2排出量、日本国内で行なわれている温暖化防止のための取り組みなどについて講演。最後に、CO2排出量の削減のため、事業所や家庭での無駄なエネルギー消費のカットを呼びかけた。
続いて、NPOアジア植林友好協会(http://www.agfn.org/)理事長の宮崎林司氏が、地球温暖化・気象変動と森林破壊の因果関係などについて講演を行なった。宮崎氏は、地球温暖化の要因が環境破壊や化石エネルギーの浪費であることや、人間の活動によるCO2排出量が約72億トンであるのに対し、森林や海洋のCO2吸収量が約31億トンと半分以下で、排出が超過していること、また、過度な伐採による熱帯雨林の破壊などによりCO2を吸収する森林が減少していることを説明。「1980年代から、人類は地球の元本を食いつぶしている。日本では、地球が2.4個必要な生活を我々はしている」と語り、非常に深刻な状況であることを認識してほしいと訴えた。
講演の後、パチンコ業界での具体的な取り組みについての報告が行なわれた。
コスト削減総合研究所 村井哲之代表取締役は、ホールでの電力使用状況をリアルタイムで把握できるようにすることと、従業員の意識改革を行なうことで電力使用量・電気料金を削減する取り組みを紹介。続いて(株)山水 湯川和彦副店長(パチンコ大学 久米川店 設置台数365台)が、前述の取り組みをホールで実施した事例を紹介。従業員への指導や業務フローの改善、マメな温度調整などの取り組みにより、取り組みを始める前と比べて年間の電気使用料を約200万円削減できたほか、従業員教育の面でもよい効果があったことを報告した。
次に、(株)スリーアローの徳田和男代表取締役が、商業施設での省エネのチェックポイントや、建物の断熱化や空調関連機器の適正配置など、設備・施工面での対策方法を紹介した。
その後、同友会 高濱正敏代表理事、全日遊連 山田茂則理事長、日遊協 深谷友尋会長、有限責任中間法人 遊技機リサイクル協会 岩下専務理事ら業界関係者と、宮崎氏はじめ環境問題・CO2排出量削減に取り組む人々とのディスカッションが行なわれた。
ディスカッションでは、ホールでの電気使用量削減や緑化などの活動だけでなく、リサイクルしやすい遊技機の開発や枠の統一化、廃材の再利用・資源化促進など、メーカーを交えた業界全体での取り組みも重要との意見が多く挙がり、15団体での環境問題に関する組織作りや、パチンコ業界での“環境サミット”開催などが提案された。
最後に、シンポジウムの発起人でもある同友会環境作業部会からの緊急提言として、
・業界関連全企業の「チーム・マイナス6%」への参加
・全ホールにおける電気使用量の削減・遊技機リサイクルの推進
・遊技機や周辺機器の低電力化・再資源化の促進
・廃棄物発生の抑制、植林活動による森林再生
と、これらの取り組みの実行のための「パチンコ業界・モニタリングチーム」設置を提案するメッセージが読み上げられた。