全日遊連全国理事会で小柳課長が講話
1月22日、第一ホテル東京にて、全日遊連全国理事会が開催。警察庁生活安全局保安課 小柳誠二課長が講話した。内容は以下のとおり。
ただいまご紹介にあずかりました警察庁保安課長の小柳でございます。皆様方には、平素から警察行政各般にわたりまして、深いご理解とご協力を賜っているところであり、この場をお借りしまして御礼申し上げます。引き続きよろしくお願いいたします。
ぱちんこ業界におかれては、昨年中も、東日本大震災発生以来、継続して取り組まれている被災地に対する復興ボランティア活動を始めとし、社会福祉への支援等の様々な社会貢献に取り組まれたと伺っており、これらの行為に対しまして敬意を表する次第であります。依然として社会的な課題となっている節電等についても、低炭素社会実行計画による取組など社会の要請と真摯に向き合い、その社会的責任を果たそうと皆様がご尽力された結果、目標に向け着実に成果を積みかさねていると認識しております。また、ぱちんこの遊技人口が減少傾向にある中、業界全体の取組として、遊技機の不正改造防止対策、射幸性を抑えた遊技機の設置等、遊技客が安心して遊技そのものの面白さを楽しんでもらうための努力が続けられているところであります。
しかし、その一方で、依然として、のめり込みに起因すると思われる各種問題や、遊技機の不正改造事犯、賞品買取事犯、違法な広告宣伝・賞品提供等が後を絶たず、健全化を阻害する要因が残されていることも事実であります。そのような状況下において、昨年中も、国会等においてぱちんこ遊技客の依存問題が取り上げられるなど、ぱちんこ産業に向けられる国民の視線はこれまで以上に厳しくなっていると感じております。全日本遊技事業協同組合連合会を始め、業界の方々におかれては、業界を取り巻く厳しい現状に危機意識を強く持っていただき、ぱちんこ業界が抱える各種問題を解消できるよう、早急に有効な対策を実行していただきたいと思います。
さて、本日はお時間をいただきましたので、年頭に当たりまして、何点かお話ししたいと思います。
まず、射幸性の抑制に向けた取組についてです。
ぱちんこ産業の現状について申し上げますと、公益財団法人日本生産性本部の「レジャー白書2015」によれば、平成26年中の市場規模は24兆5千億円、遊技への参加人口は1,150万人となりました。市場規模を遊技人口で割ってみますと、一人当たりの年間遊技費用の概算が算出されますが、200万円を超える遊技費用となり、依然として高額の費用を遊技に投入するいわゆるヘビーユーザーに頼った営業が続いているものと推察されます。そのようなヘビーユーザーに偏った、いわば射幸性頼みの営業が、果たして、ぱちんこにのめり込んでいる方を家族に持つ方々を始めとして、多くの国民の理解が得られるものかどうか、改めて考えていただきたいと思います。ぱちんこ営業が「射幸心をそそるおそれのある営業」である限り、射幸性の適度な抑制は、健全な営業であるための不可欠な条件でありますが、今の営業実態とぱちんこに対する国民感覚とは大きく乖離しているのではないかと危惧しております。
そのような状況の中、昨年の行政講話等様々な機会を通じて、全日遊連を始めとする各業界団体に対し、射幸性の抑制に向けた取組をお願いしたところであります。昨年の業界の取組として、製造業者団体が新たな遊技機基準を設け、全日遊連としても、その基準に該当しない遊技機について、原則として認定申請を行わないこととし、段階的に当該遊技機の設置を減らしていく目標値を定めていただきましたが、その実現に向け、業界団体として更なる努力を継続していただきたいと思います。
また、その取組に加え、今後市場に投入される遊技機について、適度に射幸性が抑えられたものとするため、その製造・開発を製造業者任せにすることなく、遊技客が気軽に楽しめるという観点に立った要望・意見を、製造業者側に提案していくことが、効果的ではないかと考えております。射幸性のみに頼らない遊技の場を提供していくためには、遊技客の費消金額や獲得賞品総額を抑えることや、偶然性に過度に依存しない遊技を新たに創出していくことが必要ではないかと思いますが、今後製造業者から販売される遊技機がそのような視点で製造されているのか、営業者側の立場からも確認していくことにより、射幸性の抑制に資する新たな遊技機を浸透させることができるのではないかと考えております。
なお、射幸性の抑制への取組は、新たなユーザーの獲得につながるという意味で、必ずしも産業を縮小させるものではないと考えております。2年前の春に、業界関係14団体を会員とするパチンコ・パチスロ産業21世紀会として「遊技産業活性化委員会」を立ち上げ、新たなファンを創出するための取組を業界を挙げて開始されたことも、今のユーザーが極度に偏っていることへの危機意識から始まったものと伺っております。射幸性の抑制に向けた取組も、ユーザーの新規獲得、市場の開拓、営業の活性化につながるとの前提に立ち、現場の営業者が前向きに考えられるような取組方が必要であると考えております。皆様には、射幸性の抑制に向けた取組を成功に導くため、是非とも業界をリードしていただき、営業所に足を運ぶ遊技客が、「最近のぱちんこは射幸性が落ちて、手軽に楽しく遊べるようになった」と実感できるような状況を実現させることを期待しております。
次に、いわゆるのめり込み問題を抱えている方への対策について3点お話しします。
1点目は、昨年、21世紀会として策定された「ぱちんこ店における依存(のめり込み)問題対応ガイドライン」及び「同運用マニュアル」についてです。
ぱちんこ店におけるのめり込み問題については、遊技を提供する立場にある業界において自ら積極的に取り組むべき課題として受け止めた上で、その対策の検討や実行が進められていくことが重要だと認識しておりますが、のめり込み問題に対する対応マニュアル等が速やかに策定されたということについては、業界の健全化に一定の成果を収めたものと頼もしく感じております。
今後は、このガイドライン等がいかに現場で有効に運用されるかが重要であると考えています。実際にガイドライン等を運用していく営業者の皆様への指導教育を今後も継続して実施していただくことに加え、必要があれば、ガイドライン等をさらに実践的なもの、効果的なものに改訂していくことも視野に入れるなど、今後とも適切なフォローアップを実施していただきたいと思います。
これらの取組の目的は、のめり込んだ人が抱える問題の解決に寄与するとともに、その家族を始めとする関係者の方々の理解を得ることでもあると思いますので、その目的に適った運用となることを期待しております。
2点目は、ぱちんこののめり込み問題を抱えている方やそのご家族との相談に対応する機関として、全日遊連の支援で設立され、現在では業界全体で支援している「認定特定非営利活動法人リカバリーサポート・ネットワーク」についてです。リカバリーサポート・ネットワークでは、平成18年4月の設立以来、約1万8千件の相談に対応しているとのことであり、のめり込みに起因する問題の解決に向けた糸口となるべく、適切に精神保健福祉センターや相互援助グループ等を紹介するなど、有益な取組が継続して実施されていると認識しております。また、昨年8月には、全国遊技機商業協同組合連合会において、リカバリーサポートネットワーク支援室を立ち上げ、相談業務の負担軽減に寄与していると聞いており、のめり込み問題への取組の重要性が業界の中でも浸透してきたとして、大変心強く感じております。全日遊連におかれても、ホームページへの掲載や各組合員の店舗において、リカバリーサポート・ネットワークの広報ポスターを掲示する等の広報啓発活動を進めておりますが、引き続き、注意喚起・広報啓発の取組を継続するとともに、リカバリーサポート・ネットワークを始めとする団体への支援を拡大するなど、のめり込み問題に悩み苦しむ人々に十分な対応が行き届くよう、更なる取組に期待しております。
3点目は児童の車内放置事案防止についてです。
全日遊連におかれては、毎年5月から10月にかけての期間及び年末年始を「子ども事故防止強化期間」として、組合員に対して広報啓発を行っていると承知しております。昨年中も、スモークフィルムが貼られた車内を懐中電灯により綿密に点検を行ったことにより児童を発見したケースや、駐車場外の周辺道路に駐車された車内を点検したことにより児童を発見したケースなど、痛ましい事故を防ごうとするホール従業員の積極的な姿勢が窺われ、その甲斐もあり、昨年中の死亡事故は認められなかったところであります。一方で、この車内放置事案防止対策がなければ死亡事故が多発する可能性があるという厳しい現状が続いていることもまた事実であります。本年にありましても、変わらぬ積極的な防止活動をお願いするとともに、活動マニュアルが形骸化している店舗がないかどうか、運用実態の再確認を徹底するほか、必要に応じて、児童の同乗車両が駐車場に入場することを断る措置を検討するなど、今後とも実効性のある取組を推進していただきたいと思います。
次に、遊技機の不正改造の絶無についてお話しします。
近年の不正改造の手口は、周辺基板のロムのプログラム改ざん等を偽造ケースや偽造カシメで隠蔽するなど、ますます悪質巧妙化しております。業界では不正改造事案に関する情報の収集やこれを活かした不正に強い遊技機づくり等の様々な取組が推進されているところであり、一定の成果を挙げていると承知しておりますが、このような悪質巧妙化している不正事案に対しては、ホール、メーカーという垣根を取り払い、事案の情報共有や有効な防止対策を業界全体で推進していただきたいと思います。また、一般社団法人遊技産業健全化推進機構の活動については、本年で10周年を迎えるとのことであり、業界の健全化に欠かせないものとして、その役割の大きさを皆様も実感しているところではないかと思います。活動開始以来、立入検査店舗数が既に2万2千店舗を超え、検査台数も実に15万台に上る実績を有することに加え、この立入検査を端緒に検挙に至った事例も多数あり、様々な形で成果を挙げております。このような有意義な取組である推進機構の調査に対する業界の理解は、徐々に深まってきていると感じておりますが、一方で、未だに機構の活動に対する理解が低いホールもあると聞いております。推進機構の活動が効果的に行われるためには、機構に対する各店舗毎の理解が不可欠でありますので、立入検査を拒否したり、妨害するような行為は、不正改造の根絶を目指す業界全体の取組に逆行する行為であるとの共通認識をさらに広め、業界全体で不正改造の根絶を目指す気運を高めていただきたいと思います。警察といたしましても、引き続き、推進機構と積極的に連携しつつ、不正改造事犯に対しては、厳正な指導・取締りを推進してまいりたいと考えております。
次に、遊技くぎの問題についてお話しします。
遊技くぎに関する問題に関し、昨年中、推進機構における遊技機性能調査や、日本遊技機工業組合が業界を挙げた回収を進めていくとした型式遊技機の撤去要請等の取組を推進してきたのはご承知のとおりでありますが、一連の取組については、ちょうど1年前、皆様に対する行政講話において、本問題の指摘とともに、業界の取組の要請をさせていただいたことを思い返していただきたいと思いますので、昨年申し上げた関連部分を、再度引用して申し上げておきます。
「くぎの問題は、単純に悪質な営業者だけの問題で済ませることが出来ないほど、業界内の広範囲で甘く考えられているのではないかと危惧しております。全日遊連におかれては、このくぎの問題が風営適正化法に基づく射幸性の適正管理を堂々と侵害している厳しい現状を真摯に受け止めた上で、くぎの問題を業界全体で改善すべき課題と捉え、その認識を業界の常識とするよう尽力し、不正改造事案の絶無を目指していただきたいと思います。」
このように申し上げ、全日遊連に対し、お願いをさせていただきました。そのことを前提として、くぎ問題に関する昨年の取組を振り返ってみますと、推進機構における調査にしても、日工組の回収への取組にしても、行政からの要請に基づき端を発したものであり、全日遊連としては、受け身に回ったと言わざるを得ない状況が、残念でなりません。全日遊連は、ぱちんこ営業の健全化を図ることを目的として組織する団体として、風営適正化法第44条に基づき、国家公安委員会に届出をしておりますが、当庁としても、風営適正化法の目的の一つであるぱちんこ営業の健全化を図る上で、全日遊連の役割に大いに期待しているところであります。全日遊連におかれては、ぱちんこ営業者の自主的な努力やそれを促す取組は、全日遊連の姿勢や行動に大きく左右されるものであることを改めて認識し、健全化を図るべき事項について業界団体として先手を打つ、そのような気概をもつことを、くぎ問題を含め業界の健全化に取り組む上での基本姿勢としていただきたいと思います。
その上で、くぎ問題における当面の課題として、今後日工組から通知される見込みである検定機と性能が異なる可能性のある型式に係る遊技機について、通知後、可及的速やかに営業所から撤去し、適正な遊技機に入れ替えていくよう最大限の努力をお願いしたいと思いますが、その撤去・入替を円滑に進めていくに当たり、各営業者の正しい理解が必要となりますので、少し詳細にお話をしておきたいと思います。
まず、著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機を設置して営業することについて、風営適正化法違反となることはご承知のとおりかと思いますが、仮に製造業者が出荷段階でそのような遊技機に該当する性能変更に関与していたとしても、営業者がそのような遊技機を設置し続けることは、営業者として風営適正化法違反となる行為となります。製造業者の関与があるからと言って、営業者の風営適正化法上の責任が免責されるわけではありません。今後、円滑な撤去を進めていくに当たり、新しい適正な遊技機を順次導入していくことが有効でありますが、適正な遊技機は、日工組によればベース値が30台程度のものが想定されており、撤去対象遊技機と性能が大きく異なることも考えられ、ややもすると、一部の営業者は入替に躊躇することも考えられます。しかしながら、検定制度上、検定機どおりの性能の遊技機を設置することが求められていることからすると、撤去対象遊技機をそのまま設置し続けることは、制度上許容されていないばかりでなく、極端な場合には、風営適正化法が禁止する著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機を設置していることにもなりかねないことを正しく理解していただきたいと思います。円滑に適正な遊技機に入れ替えていくうえで、必要があれば、新たな遊技機の製造に関し、当該遊技機が実際の営業に資することとなるよう、営業者から製造業者に意見を発する場を設け
ていくことも視野に入れながら、可能な限り円滑に撤去・入替を進めていただきたいと思います。日工組としても、今後の遊技機開発にあたり、くぎの変更による性能の違いが起こらない遊技機づくりを目指しており、性能の違いがあれば営業所においても簡単に把握できるよう、検定機の性能に関する情報を提供することを検討していると承知しておりますが、取組を有効に機能させるため、各営業者においても、新たな遊技機の設置以降はくぎの問題を再び生じさせないとの意識を持っていただきたいと思います。
また、撤去対象遊技機を新たに営業所に導入する場合や、部品交換をする場合の変更承認申請については、製造業者や販売業者により、改めて検定機と同一であるとの保証をしてもらう必要がありますが、当該遊技機は検定機と性能が異なる可能性のある遊技機であるため、性能の確認を行い、必要があれば、改修、部品交換等を経て検定機と同様の構造・性能に戻す作業が必要となると承知しております。その点、関係業界団体で構成する中古機流通協議会では、先日開催された会議において、流通の健全化を厳格に行う趣旨から、撤去対象遊技機に関する保証書の取扱いについて、日工組の通知以降については保証書を発行すべきではないとの判断をしていただいたところであります。
したがって、撤去対象遊技機に関し、日工組から通知を受けた以降は、中古機として流通させない、すなわち、各都道府県公安委員会に変更承認申請や認定申請をすることのないよう、ご注意いただきたいと思います。
全日遊連におかれては、以上の留意事項を各営業者に正しく理解していただくよう、各営業者に周知徹底を図ることはもとより、この機会を好機と捉え、くぎの問題の解決に向けて積極的に尽力されることを期待いたします。
次に、遊技機の流通における業務の健全化についてお話しします。
昨年の講話でもお話しした通り、遊技機の設置や部品交換に伴う手続において、製造業者が作成する保証書に関し杜撰な取扱いが立て続けに判明していることに加え、依然として不正に改造された遊技機が営業所に設置される事案も発生していることから、当庁から製造業者団体に対し、遊技機が各営業所に流通する過程においても型式の同一性が担保される制度の構築と、その運用に関するルールの明文化を要請し、現在、製造業者団体において作成した、製造業者の保証の責任を明らかにする規程や、運送業務等を委託する業者の選定基準等を定めた規程について、全日遊連を含め関係団体に対し製造業者団体から説明を実施したのは、ご承知のとおりです。
この規定に基づいた運用により、営業所に設置された遊技機について、厳格な点検確認を製造業者等が実施することになるなど、営業者からすると負担となることもあるかと思いますが、遊技機の流通における健全化が一層図られるものでありますので、是非ともその趣旨をご理解のうえ、製造業者による保証の新たな制度設計とその運用に賛同していただくとともに、営業者としても、遊技機の流通の健全化の一翼を担っていることを改めて認識していただきたいと思います。
そのために、今一度風営適正化法令の規制やその趣旨の理解を求めておきたいと思います。遊技機を営業所に設置する際や、営業所に設置された遊技機の部品を交換する際には、都道府県公安委員会に変更承認申請をする必要がありますが、この趣旨の大きな一つは、変更に係る当該遊技機が適正な遊技機、つまり、検定を受けた型式に属するものであるかを確認することにあります。その確認手段の一つが、製造業者等が作成する保証書であり、その保証書を信用するからこそ、変更承認申請を受けた都道府県公安委員会が承認できるものであります。その信用が揺らいでいる状況を改善するために、今回の製造業者団体による流通健全化のルールを明文化したもので、今回の取組により一層ぱちんこ営業の健全化が図られるものとご理解をいただきたいと思います。
特に、新たな制度のうち、製造業者の保証に係る一部の業務については、一定の範囲に限定して営業者にも製造業者が委託をすることを認める規定となっておりますが、当該業務は、製造業者の名義に基づいて行われる業務であることに留意していただきたいと思います。仮に業務に瑕疵があった場合等には、営業所の作業者が関係規程に反する行為として責任を負うほか、当該保証を行った製造業者の信用を営業所の作業者が傷つけることとなりますので、当該業務の重要性を十分にご理解いただく必要があります。
また、この保証に係る制度運用を厳格に実施することは、射幸性の適正管理の実現につながるという意味で、くぎの問題と無関係ではありません。本年4月以降に初めて新台として設置された型式遊技機については、くぎに関する部品交換の際、変更承認申請に係る保証書の担保として、くぎの状態が検定機と同一かどうかの点検確認を製造業者が1台1台実施する予定であると日工組から聞いております。全日遊連におかれても、くぎ問題の是正を契機として、保証書の厳格な取り扱いが遊技機の射幸性の適正管理に必要不可欠であり、検定機として遊技機を営業所に設置し都道府県公安委員会の承認を得ている以上、検定機と同一の構造・性能の遊技機を置かなければならないことを改めて認識していただきたいと思います。本取組の施行については本年4月1日からスタートすると聞いておりますが、以上の趣旨を十分に踏まえた上で、各営業所の現場において円滑に運用がなされるよう、本取組の周知徹底を図っていただくようお願いいたします。
次に、ぱちんこ営業の賞品に関する問題についてお話しします。
1点目は、賞品買取事件についてです。
近年の賞品買取事件の検挙件数について、増加傾向に歯止めがかからないこと等を受け、昨年4月に、風営適正化法に関する処分基準のモデルの一部を改正し、現金等提供禁止違反及び賞品買取禁止違反についての量定基準の見直しを行い、営業停止の基準期間を3月相当に引き上げたところであります。
しかしながら、昨年中の賞品買取事件の検挙件数は、12件の報告を受けており、依然として多くの事件が検挙されている状況が続いております。
賞品買取行為の規制は、ぱちんこ営業と賭博の一線を画す重要な規制であり、ぱちんこ営業の根幹に関わるものであるということを、業界内で今一度、周知徹底していただきたいと思います。
2点目は、賞品の取りそろえの充実についてです。
賞品の取りそろえの充実については、平成18年に業界の取決めとして「ぱちんこ営業に係る賞品の取りそろえの充実に関する決議」がなされたものと承知しておりますが、現在においてもその履行状態は不十分であると認識しております。皆様方におかれましても自ら立てた目標がいまだ達成されていない状況を真摯に受け止めていただき、更なるご努力をお願いしたいと思います。
3点目は、適切な賞品提供の徹底についてです。
賞品の提供方法については、等価交換規制がなされていることは皆様も当然ご承知のことと思いますが、依然として、一部の営業者がこの等価交換規制に基づかない賞品交換を行っており、行政処分等厳しく指導・取締りを継続している状況にあります。適切な賞品を適切に提供するということが業界の共通認識となりますよう周知徹底に努めていただきたいと思います。
次に、広告・宣伝等の健全化の徹底についてお話しします。
広告・宣伝等の規制については、依然として、特定の日に特定の遊技機を示し、イベント開催を告知して射幸心をそそるものや、くぎを開く等の違法行為の宣伝に関するもの、隠語を用いて規制の目をかいくぐろうとするような悪質な事案が発生しております。
このような違法な広告・宣伝については、今後も指導・取締りを行っていきますが、警察の指導・取締りによって健全化が進められるのではなく、業界全体で認識を改めていただき、業界自らの取組によって広告・宣伝の健全化が進められるよう努めていただきたいと思います。
最後に、営業所における置引き対策についてお話しします。
置引き対策につきましては、これまでにも効果的な取り組みについてお願いをしてきたところですが、昨年3月に、全日遊連を始めとする業界団体の取組として、置引き防止マニュアルが策定され、さらに昨年9月には、全国の各営業者の具体的な取組事例を盛り込む形で同マニュアルの改訂が行われたと承知しており、同マニュアルについての研修や実践が各地域で進められているものと認識しております。安全で安心な遊技場所を確保することは、ぱちんこが健全な娯楽であるための大前提であるとともに、遊技客に気軽に遊んでもらうための必要不可欠な条件であると考えております。引き続き、置引き防止マニュアルが積極的に実行されるよう全国の営業者にその必要性と有効性を理解していただくとともに、同マニュアルが更に効果的に活用できるような改訂も視野に入れながら、置引きの根絶を目指して防止対策を強力に推進していただきたいと思います。
ぱちんこ産業は、参加人口が減少傾向にあるとはいえ、なお、非常に多くの方々が参加している娯楽産業であります。
課題は山積しておりますが、くぎ問題への対策を含め、射幸性の適正管理を最優先課題として位置づけるとともに、その他の課題についても、一つ一つ迅速かつ真摯に対応していただくことはもちろんのこと、その結果が世間から評価されるということにこだわっていただきたいと思います。その実現なくして、ぱちんこは健全な遊技たり得ないと考えます。
今後のぱちんこ業界の皆様のご努力に期待いたします。